小説集
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2004年09月09日(木) :
 

「何って なぁ」
「さっきあんなに驚いたってのに言って大丈夫か?」
「やばいんじゃないの?」

「あのぉ〜?」
3人がちらりとヒトダマを見ると、またため息をついた
「あのなぁ…」
フワフワ浮かぶヒトダマを見ると、真剣な話をしようとすればするほど力が抜ける
「血ぃ飲みにいったんだよ」
「血ですか?ああ、吸血鬼さんですもんねぇ って血ぃ!?」
やっぱりな ため息をつく。(30分ほどの間に何回ついただろうか?) 先ほどの騒ぎっぷりよりは いくらかはましだろうが…
「半年ほど飲んでなかったんだ。だからさっき具合が悪くなって廊下でへばってたんだよ。俺のだけじゃ足りなかったみたいでな…」
伍長は喋ってから余計なことを言ったと視線をそらしせきをした。
「じゃぁ、私に噛み付こうとしたのも…」
陽気にマーティンが口を挟む
「たぶん、お腹の空きすぎでマシュマロに見えたんだよ きっと。デイブ、マシュマロ好きだから」
「「血じゃなくて!?」」(伍長&ヒトダマ)
「血もだけどさ、どちかってーとマシュマロみたいでおいしそう ってのが98%を占めてると思うよ」
 ………
「伍長さん 私、マシュマロみたいですか?マシュマロみたいですかっ?」
大量の涙を降らせ伍長の胸座あたりを掴んでみるヒトダマ
伍長はというと、またもや視線をそらせ 咳き込みながらフランクが吸っていたWestF1を取り一口吸う
「……言われてみると、マシュマロ みたいだな  特大の…」
「ひど「たっだいまぁ〜!」
ヒトダマの言葉がフランクのどデカイ声にかき消された(哀れ)
「デイブが放してくれなくてさぁ 本当に困ったよ ってあれ?」
「お前なぁ…空気読めよ」
くっついたままのデイブごと座ったフランクはあははと笑い声を上げる
戦闘センスはピカイチでも空気が読めないフランクは、伍長に掴みかかったままのヒトダマの尻尾を掴んで引っ張った
「ほぎゃ!!」
「うふふふふ♪ アルぅ やっぱりヒトダマちゃん頂戴ぃ」
「お願いですから尻尾だけは勘弁ですぅ」
「デイヴのものは俺のもので、デイヴのヒトダマは俺のもんだ!お前にはデイブがいるだろ!」(違!!)
フランクはぢっとヒトダマを見つめ
「…なんだがヒトダマちゃんてマシュマロみたい」

〜〜〜〜〜

フランクの言葉に萎んだヒトダマが復活し、何も知らないで 酔った勢いでフランクが見ていない間にコップに一の蔵・無鑑査を注ぐ
マーティンは「主の血だからお酒じゃない〜」と10本ものワインを空け1番最初に潰れ、フランクはそれを見ていて ヒトダマは空になったコップを満たしてやったというわけだ
デイブは部屋の隅で、コニャックをストレートでちびりちびり飲んでおり、時折 フランクと伍長の間に座ってヒトダマを睨むだけで一言も喋らなかった
伍長はキッチンでつまみを作っているらしく、いいにおいと焼ける音が聞こえてくるが 伍長もそうとう飲んでいる
こそっ「私、デイブさんに嫌われたんでしょうか?」
きっとデイブに睨まれ脅えながらランクに耳打ちしてみる
「そんなことないよ。あいつ 特定の人間としか喋らないから…1週間ぐらい一緒に暮らせばなんとかなるようになるよ?」
「い いえ、いいですぅ マシュマロみたいって食べられちゃいますぅ」
「あはははは ありえるね デイブ、どう?」
自分の名前が呼ばれたので顔を上げたデイブはすぐにそっぽを向く
「ヒトダマちゃんに焼きもち焼いてるんだなぁ かわいいなぁ」
ぐい とコップと煽る
「!?」
ばったーーん!とすごい音を立ててフランクが倒れた
「フランク!?」
ミハエルが体を抱えるがピクリともしない
「ほ、ほにゃぁぁぁ」
床には倒れたフランクに巻き込まれた のしマシュマロ げふん 失礼、のしヒトダマが出来上がっていた
「ヒトダマ!なに飲ませた!!」
伍長もあわててキッチンから飛び出してきて、ヘロンとなったヒトダマをつまみ上げ左右を引っ張って空気を入れる(流石に人前だから…)
「何って 一の蔵ですぅ」
あー、と頭をかく伍長
「ワリィ 言ってなかったけな。フランクはアルコールは駄目なんだ……もう遅いけどな」

先に言ってくださぁい とヒトダマの声が響き渡ったのは言うまでもない




えっとぉ…
もう一回だけ続きます…

えへ






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