小説集
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2004年09月08日(水) :
 

宴会場と化したリビングにデイブをつれた伍長が戻ってきた
「なんだ、お前 いける口かぁ」
「はぁい、特に日本酒はどぅわ〜いすきですぅ あ、伍長さぁん 先にいただいてましたぁ」
ほんのりピンク色に染まったヒトダマは もう3人と和んでいた。と、伍長の後ろにいる人影に気付きふよふよと漂ってくる
「そちらの方は?」
少し呆れ顔の伍長はチラリと後ろを見た
「ああ、デイビット・ボーマン 俺の弟みたいなもんだ」
もにゅりとヒトダマの背中を掴み、デイブの手の中に落とす
  ――わぁ…固体さんそっくりですぅ あ、目は赤いんですねぇ ?
デイブは、手の中のヒトダマの感触を楽しむわけでもなく見下ろしていたが、スッと目が細まると 何を思ったのか口が開きヒトダマを持ち上げた
その口の中には 鋭い牙が光っている
「ーーーーーー(泣) ごちょうさん た たた…」
デイブの手からヒトダマがむしり取られると同時に、伍長のけりがデイブのみぞおちに入った
「フランク、まだ足んねぇんだとよ。俺は限界だ」
かごに入っていた鍵を取り上げ、フランクに向けて投げる
「部屋の鍵だ デイブを連れてけ」
フランクははにかんだ笑みを浮かべると、咳き込むデイブを連れてリビングを出て行く
伍長は何事もなかったかうように座に混ざり、酒盛りを始める。手の中にいたヒトダマを隣に置き、コップに浦がすみをなみなみとついでやる
喜びながらもコップを手にするが、今の出来事が何だったのかを聞いていないことに気付いた
「伍長さん!デイブさんて 何なんですか!?」
ちっ 騙されネェか… デイブはなぁ…」
チラリとピンク色のヒトダマを見る。霊体であるヒトダマなら、デイブが何者であるか言っても大丈夫だろう
「はぁ デイブは吸血鬼だ」
予想は大きく外れる
「○×△□▽@*☆●♪■▲×〜〜〜!!!?」(何語?)
すっパ〜ン!!
伍長がどこからともなく取り出したハリセンで、ヒトダマを野球ボールに仕立てる
上手くキャッチしたミハエルがにっこりと微笑んだ
「霊体の方が よっぽど怖いと思うよ?それに、怒らせなければ害はないし…」
「はぁい…あうう」(目が、目がすわってますぅ・泣)ガタガタプルプル
「お前って、幽霊に遭っても騒ぐだろ?」
ハリセンをしまいながら伍長が訊ねる
「こわくないですかぁ?うらめしや〜なんて言われたら…」
「表は蕎麦屋 って答えてやれよ」
  ――だ、誰も私の存在ってものを疑ってないですぅ
    それどころか、上がいましたぁ
何かのネタにできるかな?と頭の隅においておくヒトダマだった
「ところで、フランクさんは何しにいったんですか?」

3人が固まったのは言うまでもない

続く(まだ続きます)




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