小説集
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2004年08月18日(水) :
 

オットーがにやりと笑い跳びかかってきたが デイブは軽く地面を蹴ると飛び上がり後ろに降り立つ。そこへ手が迫っていたが、ギリギリの所でバク転でかわしSOCOMで狙いをつける。
 オットーは笑い まるでデイブは撃たないと言うかのように後ろを向いた。舌打ちをしてSOCOMを下ろす。
 「……お前たちは ロルフ・ボーマンの所に行け」
 ロイヤルガードの二人は驚いて抗議しようとした。ロイヤルガードは皇帝を護るために存在し、皇族であっても彼らが警護することはない。彼らを警護するのは親衛隊の仕事だった。
 「ロルフの警護につけ。これからお前達は 次期皇位継承者の警護につくんだ」
 「し、しかしそれでは陛下が…」
 「いいから行け!こいつは役に立たんからな。 
  …ロルフを警護していろ」
 オットーの気迫に二人はあわてて出て行く。デイブは笑った。自分の息子…いや、自分のコピーですらなんとも思わないやつがロルフなんかを気にかけるとは 結局 自分はオットーの思うがまま操られていたと言うことなのか…?
 「お前は すべて知っているんだよな?」
 笑いながらオットーはデイブの顔を触るが、デイブは弾かれたように手を振り払う。頬からうっすらと血がにじみ、流れ落ちた。自分のオリジナルであるオットー・ルッツコフマンをどんなに否定しようとしても 自分がクローンであることを否定しようとしても それは忘れるどころかその度に 重くのしかかってくる。
 「何故 血を飲まない?」
 指についた血を舐めながらオットーが尋ねる。
 「飲んでいる…」
 「いや?直接飲んではいないだろう。何故飲まない」
 「飲む必要がないからさ」
 「フン、飲む気がないだけだろう?それとも人間から飲む勇気がないと?」
 「ああ、勇気がないだけだ。お前の実験サンプルになるくらいなら 年老いて死ぬほうがいい」
 デイブは懐から取り出した つぶれてしまった煙草を口にくわえると、箱をオットーに差し出す。
 「…ステイツの煙草か」
 「軍曹殿はお吸いになりませんか?」
 文句を言いながらもオットーは煙草を受け取り火をつける。兵士が煙草を吸わないわけがない。デイブはオットーの過去を知っていた。別に知りたかった訳ではない、教え込まれたのだ。何もかも War the whole Worldの前も 何があったかも…
 「ウォルフに洗脳されたか?人間なんぞに情が移ったか?」
 「あんたも人間だったろう。俺は人間だったんだ  いや、今でも人間だ。」
 「  ああ、フランク・ミラーか……そんなに大事か?それとも巧いのか?人間なんざぁ殺してやると言っていたお前がなぁ」
 「五月蝿いっ!」
 オットーは興味が引かれたというような顔をし、ますます嫌らしく笑った。
 「化物が人間に受け入れられると思っているのか?我々は化物としか見られない、化物は化物としか生きられない…。お前は私のクローンだ 完全なコピーと言っていい。人間から血を飲み 完全な吸血鬼となれ。お前も他とは違うはずだ ただの吸血鬼ではないだろう?吸血鬼の血を吸う吸血鬼のはずだ。そんなにフランク・ミラーが大事なら その能力で仲間にすればいい。
  さあ早く 人を襲いに行け、 早く!」
 「黙れ!!」
 デイブが放った気がオットーにたたらを踏ませた。
 口をぬぐったオットーは、手についた自分の血を舐め、面白そうに口を歪める。
 
「…やはり お前は 出来損ないのようだな…」



用語 洗脳:吸血鬼を洗脳することは出来ない ただし、まだ完全体となっていない吸血鬼に対しては効果があり、洗脳できる。
 ex)子供 直接血を吸っていない吸血鬼  デイブは後者に当たる





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Photo : Festina lente
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