てらさき雄介の日記
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2013年04月18日(木) イギリスの地方自治

自治体国際化学会でイギリスの地方自治制度についてレクチャー。長年専門的に研究してきた内容を聞く。イギリスは民主主義の手本と言われている国。実際はどうであるのか興味深かった。

基本は議院(議会)内閣制。議会の多数派が行政を掌握する。市長や知事をはじめ警察関係の業務まで担当。政党政治が進んだ一例と言える。

首長の直接選挙も可能だが、制度導入にあたって住民投票を行い、結果否決された例が多い。

また国と地方の関係においても、中央集権と地方分権が行ったり来たり。スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの自治も絡み、権限や財源面では日本より進んでいるとは言い難い。

特にスコットランドは、イギリスからの独立を問う住民投票が数年後に予定されている。独立を推進する自治政府は、既に国としての体制を整備している。伝統ある王国と一言では済まない複雑さがある。

「イギリスとアメリカの違いは愛国心を強要するかどうか。」ガツンとくる言葉だった。アメリカはその成り立ちから愛国心を求める。しかしイギリスは階級社会でありながら実際は違う。とにかく庶民が強い。

それが地方自治の制度や運営にも反映されていると実感。都道府県と市町村の2層と決まっておらず、そのあり方も地域で決めている。これは自治体という行政制度を越えたローカルコミュニティが既に存在している証拠。

日本も江戸時代までは地域主権だった。そういう主張もある。確かに一理ある。通貨を法を各藩ごとにつくっていた。当時のコミュニティは既に崩れているが、何らか参考にできることがあるかもしれない。

その他にも多く学ぶことがあった。日本の地方自治は本当におくれているのか。制度を変えることによって前に進むのか。以前から感じている疑問に少し答えが出たかもしれない。

明日以降フランスでも同じく地方自治の話を聞く予定。その後にしっかりまとめたい。

●今日一日

【午前】
自治体国際化協会でレクチャー

【午後】
ロンドンからパリへ

ユーロスターでパリに向かいました


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