てらさき雄介の日記
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2006年03月10日(金) 寺崎英成という人

寺崎英成氏は「昭和天皇独白録」を記したことで有名だ。同書を読んでみると、外交官としても長年にわたり多くの実績を残している。

奥様はアメリカ人で日米戦争中には、そのことでも苦労されたようだ。お子さん他ご家族は、現在はアメリカで暮らしている。

文芸春秋から出版されているこの本は、後半が評論家などによる座談会が収録されていることでも珍しい。前半の独白録について、検証・論評しているのだ。

あるいは東京裁判用に書かれたという見方は正しいかもしれない。単なる思い出話にしては書かれた時期が微妙すぎるし、項目も裁判を想定している節がある。

しかし多くの政治家や軍人について、昭和天皇が率直な表現で評価していることは、当然のことだが天皇が戦前から人間であったことの証だ。興味深い。

今はもう風化した天皇の戦争責任論も、この本を読む限り避けては通れない。戦中に起こった個々の案件に、天皇はひとつひとつ判断をして結果政策決定に影響を与えている。

この独白録はアメリカの寺崎家から偶然発見された。発見したお子さんが日本と父である寺崎英成氏に愛情を持っていたから、その文書も丁重に取り扱われたのだ。

さて寺崎という姓だ。選挙中に市内の寺崎さんを全てまわってみた。約30件あったと記憶している。話してみると九州系が多い。私の祖父も佐賀県の出身だ。

同じ姓に意味があるかはわからない。しかしそこまで唯物史観にも立てないのが人間というものだろう。親近感を覚えた。


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