「献杯しようか。」 と、ダーが言った。…ケンパイ? 私は、献杯の意味が解らなかった。 「お祝をする時は“乾杯”で、今夜は“献杯”だよ…」
産まれて初めてのケンパイ。
私は 梅酒にお湯を注いだ。 ダーは昨日買ってきたウィスキー。 ふたりで飲んだ。
なみだは。 ときどき やんで。
そして、ふってくる。
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おばあちゃんが亡くなった。 来る時が、来たのだ。
あの、乾いて柔らかくてあたたかかったおばあちゃんの肌を思い出す。 会いに行ったのは、ついこないだの事だったのに。 どんなにあがいても、もうお金がなくて九州へは行けない。 地元を離れるという事の不幸をひしひしと感じた。
最後だから そのほほに、触れたかったのに。
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小学生の夏休み 台所に立つおばあちゃんの隣で私の好物ができあがるさまを見ていたこと。
…とか、
午後、一緒にラジオを聴いたこと。
…とか、
「はいから」を巧みに使うおばあちゃんに衝撃を受け、 そんなおばあちゃんをハイカラだと感じたこと。
…とか。
・そんな、おばあちゃんのワンピースがこの部屋に掛かっていること。
・せめて「おばあちゃんの家」で最後を迎えられたらよかったのに。 そうじゃなければ、ママの部屋で。
・あの家よりも なれ親しんだ有明海の小さな島の、緑のまんなか。 あの場所が最後だったら。
・もう惚けていて言葉を意のままに発する事もできなくなっていた、 おばあちゃんは、誰かを呼ぶ事ができただろうか、 あの施設の清潔なベッドで、最後はひとりだった?
・惚けて亡くなるのは幸せなこと・だろうか、 最後になんと言いたかっただろうか、誰に?
・11人兄弟に囲まれて育ち、 若くして主人を亡くし、 核家族のそばで孤独な老後。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか。
おばあちゃんは、幸せだっただろうか?
決してそうだとは言い切れない気がしてしまって、 そんな想いばかりがぐるぐるまわる。
若い時に死に別れ、思い続けてきたおじいちゃんと 今頃、新婚生活を始めようとしているだろう。 と、思う。
私の願いとか思いとか今の気持ちを込めて、 パッフェルベルのカノンを聴いてます。
おばあちゃん、最後だから そのほほに、触れたかったです。
おばあちゃん、ありがとね。 ほんとうに御苦労様でした。
父長崎人+母福岡人=純血の九州オンナ、福岡に産まれ、
関東→京都→佐賀→京都→横浜→群馬と流れてます‥
レイ
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