2004年11月23日(火) |
「JM」キアヌ×ビートたけしによる超B級わさび醤油味サイバーパンク。ヤクザから逃げつつイルカに助けを乞え!(笑) |
『JM』【JOHNNY MNEMONIC(記憶屋ジョニー)】 ※ビデオ発売時タイトル:JM/ジョニー・ネモニック 1995年・米 監督:ロバート・ロンゴ 原作・脚本:ウィリアム・ギブソン「記憶屋ジョニイ」 撮影:フランソワ・プロタ デザイン:シド・ミード 音楽: マイケル・ダナ 俳優:キアヌ・リーヴス(記憶屋ジョニー) ビートたけし(多国籍犯罪組織「ヤクザ」の親分、タカハシ) ディナ・メイヤー(ボディガード、ジェイン) アイス・T(ロー・テクの指導者、Jボーン) ドルフ・ラングレン(宣教師で殺し屋) ヘンリー・ロリンズ(医師、スパイダー) ウド・キア(エージェント、ラルフィ) バルバラ・スコヴァ(ファーマコム社の創設者、アンナ・コールマン)
2021年。地球はどこもかしこも機械文明に覆い尽くされ、 大量の電磁波の影響と考えられる死の病、NAS(黒震病)に 人類の半分が冒されていた。 製薬を中心とした巨大複合企業、ファーマコムの開発した、NASの症状を抑える薬はあるものの、完治の技術は未だ開発されていない。
ジョニーは脳内に埋め込んだチップに、自らの幼少時の記憶と高額の報酬と引き替えに、データをインプットして運ぶ、「記憶屋」だ。データの正体は、安全のため記憶屋も与り知らぬところ。 親の顔も覚えておらず、苗字もわからない、ただのジョニーだ。
次の仕事の連絡がエージェントのラルフィから入る。 北京からアメリカのニューアーク・シティまで、極秘情報を 運ぶ。 データが膨大なため、メモリの拡張を済ませ、北京のホテルで データを受け取った。 あまりにもでかい、300GBを超えるデータ量に、命の危険を感じるジョニー。 早く、DLしてなくては・・・。
だが、DL時に必要不可欠な暗号となる3つの画像が、ホテルを 襲撃したファーマコム社の手先、ヤクザたちによって奪われたり、 焼かれたりしてしまう。 ジョニーの手元には1枚しか・・・。これじゃDLできない!
ニューアークに到着したジョニーだが、エージェントがファーマコムの手先であることを知る。 DL不可能となれば、情報を取り出すには、ジョニーを捕らえ、首を切り落として持ち帰り、開頭して物理的に取り出す他ない。
かくして、追われる身となってしまったジョニー。 ひどい目眩と頭痛、忍び寄る死の影に怯えながら、NASの発病を理由に解雇され恨みを持っていたボディーガードのジェインと、反ファーマコム、反体制をスローガンに闘うアナーキスト集団、ロー・テクの主導者、Jボーンらに助けられ、どうにか脳を圧迫する このデータをDLする方法はないかと必死に探るのだが・・・。
手下の相次ぐ失態に苛立つ、ヤクザの親分、タカハシは、一刻も早く依頼主ファーマコムにジョニーの脳を差し出せと、頼りない手下だけでは安心できず、別の殺し屋も雇う。
だが、タカハシの心を占めているのは、4年前、NASで亡くなった幼い娘の面影だけだった・・・。 ときおり、タカハシの端末に、謎めいた女性のイメージが浮かび上がり、部下任せではダメだと彼を激励し、また、慰めるのだった。 彼女は、ファーマコムの創設者、アンナだ。
やがて浮かび上がってくる真相。 そもそもジョニーにデータを運ばせた依頼主「Dr.オールカム」 とは誰なのか?北京で怯えながらデータをジョニーに 渡した連中の正体は? 何故、ファーマコムはオールカムの手にジョニーを渡すまいと やっきになるのか?
やっとの思いで接触できたDr.オールカム。 だが、暗号の画像が揃っていない・・! これではDLはやはり開頭手術しかないという。 ジョニーの命に別状はないそうだが、記憶力が極度に落ち、 いろいろな意味で保証はできないという。
DLしなくても膨大すぎるデータのせいで脳がやがて死ぬ。 DLするにも一か八かだなんて・・・。 ジョニー、ブチきれる。
そこへ殺し屋が・・! Dr.オールカムも消されてしまった。 死の間際に、データの正体と、最後の頼みの綱、ジョーンズの名を 告げて・・・・・・。
ジェインは、NASの症状に苦しみながらも、最後の決戦へ向け、 再びJボーンのアジト、“ヘブン”へジョニーを連れてゆく。 なんとしてもジョーンズに逢わねば・・・!!
タカハシもヘブンを目指す。
決戦の火蓋が切って落とされた!!!
世間で酷評されまくっている本作、どれほどダメなのか ワクワク観てみたら、なんだ、面白いじゃん。 お金かかってし豪華キャストだから、とS級を期待していると コケます。 何をどう頑張っても、サイバーパンクですよ(愛)。 この世界の旗手、ギブソンが自分で脚本書いてますよ。 しかもデザイナーがシド・ミード(「ブレードランナー」等)ですよ。 ベリーすんごいサイケかつダーティで趣味に走ったB級ができるに決まってるぢゃないですか〜♪♪
一言で言えば、「トロン」の進化系、「マトリックス」の準備段階、って感じなのかな〜〜?
インターネット侵入に使うお道具は、ヘルメットと手袋。 あのヘルメットは「ニルヴァーナ」っぽいかな。 立体グラフィカルのインターフェイスは、「マイノリティ・リポート」でトム・クルーズがやってたのと似てますよね。
パントマイムだ〜(笑)とちょっと笑える動作で手を動かし 情報を手で言葉通りかき集めている姿が面白い。 そっかー、未来はキーボード要らないのな(≧∇≦)
「スターウォーズ」から伝統の、冒頭いきなり30秒強の 字幕による設定説明、ビデオおよびDVDの方は、一瞬理解できなかった場合、止めて読み直しましょう(苦笑)
SF小説を映画化するときに、よくできた作品だと、冒頭の 字幕説明ではなく、うまくキャラクターに喋らせたり、 観ているうちに、視覚的に理解させたり、と工夫するもんなんですが、これはもう直球。 滝のように前置きが流れます。 そこで???のままだと後がツラいので、映画館で観た方は さぞかし大変だっただろうと('∀`;)
ところで、ジョニー・ネモニックは名前じゃありません。 なんで邦題が「JM」なのか理解不能。 ネモニックは、英和辞典をひけば小さな辞書でも載ってます。 にーもにっく、と発音、記憶の、という意味です。
そのまんま原題と同じで「記憶屋ジョニイ」のほうがカッコいいと 思いません?
この映画、他のサイバーパンクものに比べると、テーマ性が やっぱり若干薄いというか、凡庸なのです。 技術や視覚的なものの追求に走り、「人間」がやっぱり描けていない。
機械文明への警鐘、人類が危機にあっても、なお儲けを優先させる 企業という“生き物”の不気味さ、恐ろしさ。 それでも地下組織(実際には言葉通り思いっきり地上(ヘブン)なのがナイス)で必死に闘う人々の姿、でも、機械文明にケンカ売ってる彼らとて、機械の力を借りねば何もできないシビアな現実。 アナログじゃなくて、ロー・テクっていう名称が辛辣。
でも、↑ これは斬新なテーマじゃない。95年にしてはね。
ちゃんと、人間の情についても触れているんですよ。 幼い娘をNASで失ったタカハシの虚無感(ガンダムのザビ状態だけど)、報酬と贅沢な暮らしのために、人が自分である証拠ですらある「記憶」を手放して根無し草として生きるジョニー。
「ダークシティ」では、主人公は自分の幼い頃の記憶、親に愛されて育った記憶を必死に求めます。 あの映画のよさは、そこにある。
本作では、タカハシの最後の行動の前置きがなく、充分に 気持ちは推測できるものの、唐突感が否めない。 ジョニーは、記憶力がなくなることには怯えているが、 失った記憶を取り戻すことには執心していない。
DVDだと、ジョニーの親が誰であったか、特典部分でどうも 説明されるらしいですね。 充分、そーだろーな、という見当がつく終わり方なので説明は蛇足ですが、むしろ、機械文明というヒヤリとした手触りで進んできた だけに、最後くらい、ジョニーに、「記録運搬人」としての側面だけでない、また恋愛要素でもない、(むしろ恋愛要素のほうが邪魔かも)隔絶されて運命のいたずらか敵味方にわかれてしまった 母と息子の確執が解き放たれる場面が観たかったなぁ・・・。
記憶と記録にの差に関しては、この映画では重要なテーマとして 取り上げられていません。 (記憶と記録とアイデンティティーというテーマにはこだわっていて、「メメント」や「ニルヴァーナ」あたりでも何度か書いています) 「記憶屋」という名称ですが、自分は何を記憶させられたか わからない仕組みなので、正確には「記録運搬人」ですよね。
記録を棄て、記憶を取り戻す、そういうラストだったら、 物語に奥行きが出ただろうにな、と思います。
そんなわけで、本作は心に響くモノは残念ながらありませんが、 やっぱりビジュアル的には観てて飽きない面白さがあるし、 音楽もU2らがガッチリ世界観を構築してくれますし、 衣装や小道具を楽しめる、1995年という時代を表す、 愛すべきB級SFだと思うのですよ。
Win95発売前ですから、2004年の今、観ると 機械文明ってほどか〜?ギガバイトなんて今じゃ凄くねぇ、とか いろいろ時代を感じさせてくれます。当時はメガバイトでも雲の上だったような・・・・。 今、冷蔵庫に何が残っているかもふと思い出せない私は、 きっと1キロバイトもないんだろーな、記憶容量(自爆)
日本映画界の珍宝、ビートたけし(※北野でもキタノでもないです、TAKESHI、でした)の、ギラついてもいなく、 無口さがかえって怖いタイプの演技でもなく、軽口をペラペラたたきまくるでもなく、喪失感から魂が抜けた乾ききった男を無表情に演じている。
★小粒に可笑しいシーンの数々★
「東京の帝国ホテルでクリーニングしてもらったYシャツが着たぁぁぁぁい!!」とブチきれるキアヌ・リーブス
ジェインの鎖帷子のようなTシャツ(イメージはくのいち?)をはじめ、ロー・テクの皆さんのどことな〜く漬け物と梅干しの香りが漂う微妙な衣装
タカハシの部下の中国人?シンジ、髪型がポニーテール×お相撲さんの髷です。
部下のヘンな文字の入れ墨に「そんな漢字があるか!」と ブチきれるビートたけし
タカハシの娘、岸田劉生の「麗子像」みたいでけっこうホラー。 でも、あの着物の着方は遊女ですよ〜w
広い心でツっこみいれながら観ましょう(笑)
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