お茶の間 de 映画
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2004年11月21日(日) 「ゴシカ」怨霊系怪奇オカルト。ホラーとしてもミステリーとしても半熟なんだが、主題歌Behind Blue Eyesにゴーンとキタ。

『ゴシカ』【GOTHIKA(中世的な、おどろおどろしい、不気味で暴力的な、から造語)】
監督:マチュー・カソヴィッツ 
脚本:セバスチャン・グティエレス 
撮影:マシュー・リバティーク 
音楽: ジョン・オットマン
主題歌:Behind Blue Eyes(Limp Bizkit)
 
俳優:ハル・ベリー(ミランダ・グレイ博士)
ロバート・ダウニー・Jr(ピート・グレアム博士)
ペネロペ・クルス(女囚、クロエ)
チャールズ・S・ダットン(ミランダの夫、ダグ)
ジョン・キャロル・リンチ(ダグの親友、ライアン保安官)
バーナード・ヒル(フィル)

ストーリー用ライン


世俗から隔離された森の奥に、古城のような風情でそそり立つ
精神病の女囚専門の刑務所。

ミランダは優秀な心理学者であり、夫はここの所長だ。
夫婦は仲睦まじく、ミランダの同僚のピートは彼女に想いを寄せるが、彼女は夫一筋の貞節な妻。ピートはそっと見守るだけだった。

ミランダは、今、担当している女囚クロエのカウンセリングに
行き詰まっていた。
精神に異常のある犯罪者は、あれこれ妄想を喋るものだが、
クロエの訴えはあまりにも突飛で執拗だった。
悪魔に陵辱され、父親の喉を切り裂いて殺したというのだ。

夫に励ましてもらい、少し元気を取り戻したミランダは、
ピートが夕食に誘うのも断り、熱心に研究室で仕事をしていた。
すると、停電・・・。このごろ、やけに多い・・・。

データも飛んでしまったし、今夜は仕事を諦め、プールで一泳ぎすると帰路についた。

・・酷い土砂降りで視界が悪く、道路も陥没してしまった。
警官に迂回路を教えてもらい、橋を渡り終えたそのとき。
ずぶ濡れで傷だらけ、服もズタズタの少女が道のど真ん中に!!

慌てて回避し、少女に駆け寄るミランダ。
レイプされたとおぼしき姿に、すぐに病院に連れていこうと
手を伸ばそうとした瞬間、少女は炎に包まれ、ミランダは
意識を失った・・・・・・・・。

ミランダが意識を取り戻したのは、その3日後。
あろうことか、自分が患者として女囚として独房に・・・!

ピートが担当医だという。脳波の異常について語る彼に、
夫を呼んで、とわめき散らすミランダ。
ピートは沈痛な面持ちでダグは死んだと告げる。

ミランダが夫のダグを斧で惨殺したというのだ。バラバラに
切り刻み、壁に「NOT ALONE」(ヒトリジャナイ)と血文字を
残し・・・。
ミランダの指紋も出ており、動機がないということ以外、
彼女が犯人としか思えない。

弁護士は、心神喪失を訴えるしか裁判に勝ち目はないが、
なにしろ職業が職業なだけに、狂人のフリをしているのでは、と
陪審員に思われる可能性が高い・・・と困惑している。

ミランダは怒り狂う。
自分は正気であり、異常者扱いするならピートも弁護士も信用しない、と憤慨するのだ・・・。

ミランダは、入浴中に突如、「NOT ALONE」と鋭い刃物で腕に刻まれ血まみれに。医師も看護婦も、どこからか持ち込んだ刃物で自傷したのだと主張し、投薬を増やされる。

彼女の独房に幾度となく訪れる、あのときの少女。
彼女は科学者だ。超常現象なんて信じない。
でも、理屈をこねていられる状況ではなくなってゆく・・・。

やがて、その少女は4年前に死んでいたことがわかった。
自殺だという・・・・。

少女の霊が独房のロックを解除した・・!
夜の監獄を駆け回るミランダが見たのは、独房でクロエが、
胸に炎に焼かれる女の入れ墨をした男に犯されている姿・・・!

NOT ALONE の意味するものは?
何が1人ではないというのか・・・?

ダグを殺したのは本当にミランダなのか?
だとしたら何故?

ミランダを苦しめる少女の亡霊は、彼女に何をさせようとしているのだろうか・・・??


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コメント用ライン


正直なところ、ストーリーは、怨霊という欧米人にはなじみの薄いゆえに薄気味悪いモノと、精神病棟というシチュエーションの
怖さをからめ、突発的な大音響とヒロインの金切り声の悲鳴を
多用した、B級感漂うできばえ。

B級ホラー好きの私だが、これでもかっていう作り手の愛が映画ににじんでいないと、愛すべき存在にならないのですよ。

亡霊に怯えながらも、亡霊の無念を晴らそうと恐怖に耐えつつ
頑張るというシチュエーションは、近年なら「アイ」が成功作。

古い古い精神病棟の恐怖感、閉塞感を活かしたサスペンスホラーの傑作には「セッション9」がすでにある。

この2つに共通するのは、「沈黙」「見えない」逆に「見たくないのに見えてしまう」、それから弱そうなヒロインが逃げようともがく哀れさ、怖さ。この子が何をしたっていうのよ、という
同情もわく。
それこそ、「シックス・センス」であどけない少年が怖いもの
に悩まされて、なんて可哀想なの!と、あの感じだ。

「ゴシカ」は、絶え間なく音がし、ヒロインはタフな女性で
亡霊にわめきちらし、実に逞しく行動する。
か弱くないヒロインがいくら悲鳴をあげても、絶対に負けそうもないようなヘンな安心感がともなってしまい、ハラハラしない。
・・・ハリウッド映画だからねぇ。
誰か助けて、と他力本願なおとなしいヒロインはウケないのだろう。

あ、他力本願なのはこの映画ではヒロインではなく、亡霊ですね。

「NOT ALONE」ヒトリジャナイ
ヒロインも、何が1人じゃないのか、次々に可能性を考え、
それらは両方とも結局、正解なわけですが、
私はミスリードしてました。

可能性A:ミランダは本当に精神病、多重人格、あるいは
統合失調症(分裂病)であった。故に「1人じゃない」

可能性B:ピートの横恋慕による邪魔モノ排除犯罪で、自分だけのものにするためにミランダに投薬し、裁判で心神喪失の主張を主治医としてし、無罪放免になったら結婚を申し込む。
ボクがついてる、「独りじゃない」

結論からいえば、ここで書いてるだけあって、2つともブー、です。
物語上、結局ほとんど活躍もせず悪さもしないピート・グレアム医師、せっかくロバート・ダウニー・Jrが美青年ぶりを発揮してくれているのに、もったいないですな。

最後まで、ヒロインは「独りで」闘ってました。
正確に言えば、亡霊にインスパイアされ2人で、ですが、亡霊が巻き込んでおいて、
「アナタハヒトリジャナイ」とNOT ALONE とメッセージ
されても、大迷惑で(笑)

いっそ、少女の亡霊をうんと哀れに描き、ミランダを傷つけたり脅さない方向で、ミランダの正義感に訴えるカタチで描いていれば、
きっと多くの方が感じた、ミランダは何も悪くないのに、という
不条理な怒りを感じなくて済んだんじゃないかなぁ・・・。

ラスト、アメリカの法律はどーなってんだ、は忘れましょう。
幾つか解釈はもちろん可能です。
心神喪失による殺人罪で刑務所の精神病棟に収監されても、完治した、と医師によって正式に認められれば出所は可能。
他の映画(「スリング・ブレイド」「15ミニッツ」など)
でも同じシチュエーションは出てきますので、無理無理な
設定ではないと思います。


というわけで、ストーリーそのものや、映像センスなどは、
これといって凄かったなぁという部分は正直いってありませんでしたが、俳優は楽しめました。

ハル・ベリーにしても、ペネロペ・クルスにしても、女囚なので
ノーメーク(のメーク('∀`;)にボッサボサ頭、囚人服。
男性陣には、目の保養になるシーンがほっとんどない、という
ことはあらかじめ申し上げておきまする。

綺麗に見せなくていい、というのは開放感もあるのかも。
2人とも、凄い形相で取り繕う余裕のない必死の人間の演技をみせてくれます。

私は、ジョン・キャロル・リンチが出てきた時点で、う・・・うさんくせぇ・・・!!と1人で大ウケ。
このひと、気弱な善人か、性格ねじれた嫌みなおっさんの役が
わりと多い。
今回は?
あまり拝みたくないなまっちろいセミ・ヌードが拝める、とだけ申し上げておきましょう・・・・。
ああ、ジョン・キャロル・リンチよ、アメリカ中産階級のくたびれた中年の代表者のようなあなたの風貌が大好きだ。


ふーん、という感じで終わった映画ですが、エンドクレジットで
流れるリンプ・ビズキットのBehind Blue Eyes、これが実に
イイ!!!(The Who のBehind Blue Eyesのカヴァーです)

DVDには特典として、映画のシーンからイメージしたビデオクリップがついています。実のところ、オバケ出さずとも、人間を全面に押しだし、
このビデオクリップのイメージ世界で1本、いい映画が創れそうだなと思うくらい。

映画のサントラは発売されてませんが、リンプのこの曲のシングルは輸入盤で買ってしまいました。


ここで、DVDの特典と同じものが観られます。
http://launch.yahoo.com/artist/videos.asp?artistID=1032861
Behind Blue Eyesを選択してください。

ザ・フーの名曲なのでご存じの方も多いと思いますが、
後半からLimp Bizkitらしいオルタナティヴなロックテイストが
強くなり、独特の雰囲気です。

歌詞がいいですよね。
とてもききとりやすいので、聴いていて心にうったえてくるものがあります。

この映画のわかりにくい部分を補完しているようにも思えるんですよ。

愛していたつもりだけど、あなたはそのひとの何を知っていたの?
愛していながら、そのひとの言葉を信じてはあげられないこともある。その苦痛とジレンマ。



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