2004年10月01日(金) |
「ブラッド・ワーク」 イースウッドの映画は安定してるねぇ。サスペンスの王道でおなかいっぱい。 |
ブラッド・ワーク【BLOOD WORK(血液検査)】2002年・米 監督:クリント・イーストウッド 原作:マイクル・コナリー 『わが心臓の痛み』 脚本:ブライアン・ヘルゲランド 撮影:トム・スターン 編集:ジョエル・コックス 音楽:レニー・ニーハウス 出演:クリント・イーストウッド(元FBI、テリー・マッケイレブ) ジェフ・ダニエルズ(マッケイレブのパシリで友人、バディ) ワンダ・デ・ジーザス(依頼人、グラシエラ) ティナ・リフォード(カルフォルニア州警察、ジェイン刑事) ポール・ロドリゲス(ロス市警、アランゴ刑事) ディラン・ウォルシュ(ロス市警、ウォーラー刑事) アンジェリカ・ヒューストン(主治医、フォックス医師) メイソン・ルセロ(グロリアの遺児、レイモンド) マリア・キバン(グラシエラの妹、グロリア)
まただ。惨殺死体の傍の壁に、FBI心理分析官テリー・マッケイレブに宛てた意味不明の数字の羅列を残す連続殺人犯、“コード・キラー”が今夜もロスの夜を血で染めた・・・。
暗号解析のプロも匙を投げる暗号、関連性のない被害者・・・。 いっこうに解決の糸口を見つけられない。
だが、群がるマスコミの陰に不釣り合いなスニーカーの男。 直感に従いその男を追いかけるマッケイレブ。ビンゴか。 男は全速力で逃げ出した。
ヘリからサーチライトで路地を照らし援護するロス市警。 僅かずつ距離が縮まる。男は身軽に高いフェンスをよじ登って越えた。高齢のマッケイレブも奮闘するが、心臓が音を上げた・・・! 倒れ込むマッケイレブ。意識が遠のく寸前に、犯人に発砲。 手応えは感じたが、逃げられてしまった・・・・。
それから2年。 カルフォルニアの美しい海を臨むヨットハーバーに停泊したクルーザーで、心臓移植をうけ退院したばかりのマッケイレブは隠遁生活を送っていた。 FBIも引退し、釣り三昧の静かな日々。 不思議なことに、あの夜以来、コード・キラーも姿を消し、事件は迷宮入りとなってしまった・・・。
そんなある日、グラシエラと名乗る30代くらいとおぼしき女性が硬い表情でマッケイレブの前に現れる。
妹が殺されたがいっこうに事件の捜査が進展しない。 なんとしても事件の真相を究明してほしい、と。
何故、もう引退した自分に・・・?私立探偵の免許もない。 すると彼女は言った。 貴方の心臓は妹のものなの、と。 にわかには信じがたく困惑していると、彼女は説明した。
コード・キラーとの関連性が謎のまま引退したマッケイレブの心臓移植は、当時かなり話題になり新聞記事になった。 妹が射殺され脳死になり、移植手術をしたのはマッケイレブの手術の日。 心臓移植はドナーが希有な上、適合するかどうかがとてもデリケートだ。血液型が合えばいいわけではない。 しかもマッケイレブは希有な血液型だった。
間違いなく、妹の心臓は貴方のよ、だから妹の無念を晴らす義務があるわ、と詰め寄るグラシエラ。
病院でいつも見かける、移植手術待ちの幼い男の子が頭をよぎる。 マッケイレブよりもずっと前からドナーを待っているのに、まだチャンスが訪れない。
たった2年で、この老体に再び生きるチャンスをもらったこと。 グラシエラの哀しく強い意志を秘めた瞳・・・。
マッケイレブは心臓に誓いきっと事件を解決すると決意する。
古巣のロス市警にドーナツを土産に足を運ぶが、引退し無資格の マッケイレブは刑事らに冷たくあしらわれる。 それでも粘り、殺人現場の防犯ビデオを見せてもらえた。
小さな食料品店。仕事の帰りに幼い息子にキャンディバーを お土産に買おうとする被害者グロリアとレジの店主。 そこへスキーマスクを被った男が現れ、何の躊躇もなく店主と グロリアを射殺、落ち着いたそぶりでしゃがんで薬莢を拾うと、防犯カメラにむかって何か呟いて逃走。
数秒後、死体にかけより手当しようとする“親切な男”が画面に映り、その男が救急車を呼び、そのまま姿を消している。
刑事たちはただの強盗殺人犯のセンで捜査中だが、進展ナシ。 グラシエラが毎日電話で捜査の進展を訊いてくるので鬱陶しい、と 刑事たちはげんなり顔だ。
だが、マッケイレブは長年の経験から、明らかに金銭目当ての強盗殺人ではないと感じる。
図書館でスキーマスク、強盗、のキーワードで検索すると、 似たような事件がもう1つ起こっているのがわかった。 グロリアの事件の少し前だ。
ロス市警はもうこれ以上相手にしてくれない。 マッケイレブは、かつて手柄を譲ってやり出世に貢献してやったことがある黒人の女性刑事ジェインをたより、州警察に。 いくら世話になったとはいえ、部外者に情報の提供は・・・と渋るものの、借りがあるジェインは断れない。
ジェインの協力で読唇技術者にテープの分析を依頼すると、 犯人は“ハッピー・バレンタイン!”と口走っているようだ。
何だ・・?そんな時期でもないし、誰に向かって犯人はメッセージを残してる・・・?
もう1人の被害者も調べなければ。 クルーザー生活仲間で、リッチな親のおかげでプー太郎の陽気な 青年、バディを運転手に雇い、捜査を始めるマッケイレブ。
次々に浮かび上がる可能性、犯人像。 薬莢を拾っていたのではないことにも気づく。 だが核心に迫ったかと思うと肩すかしを食らう・・・。
肉体的にも、精神的にも、マッケイレブは追いつめられてゆく。 主治医は、せっかく授かった命なのに、死ぬ気!?と激怒。 8度を超える熱、不安定な呼吸。 苦しみながらも、マッケイレブは必死に捜査を続ける。
そんな姿に、はじめは妹の心臓のおかげで生きていられるヤツ、と いう目で見ていたグラシエラの気持ちも揺らぐ。 次第に惹かれあってゆくマッケイレブとグラシエラ。 もういいから、と懇願するグラシエラに、この心臓にかけて必ず解決する、と決意を曲げないマッケイレブ・・・・。
2件の射殺事件の犯人の目的はいったい何なのか。 憔悴してゆくマッケイレブ、捜査を翻弄する犯人。
ロス市警とカルフォルニア州警察の管轄境界線に置かれた死体。 犯人は遊んでいる。 そして次の死体は、かつてコード・キラーを追ってマッケイレブが倒れたフェンスに置かれた。
決着をつけねば・・・・・。
原題のBLOOD WORK(ブラッド・ワーク)は随分調べたが、通常の 英和辞書にはない。 医療用語に狙いをつけ、心臓移植についてのサイトを調べたら対訳になっているページがあり、blood workの訳は血液検査、と なっていた。 映画中で2回、マッケイレブが血液検査を受けている。 感染症を起こしていないか主治医が心配するからだ。
後半、急速に見えてくる事件の糸口は血、血液だ。 これに関してあまり詳しく書くとネタバレに繋がるので、キーワードは「血液」とだけ。
でも、一言言わせて。 また日本の配給会社はアホ丸出しなキャッチコピーを! 「犯罪が移植される」 チョットマテ。 移植された心臓の持ち主は万引き1つしたことない頑張るシングルマザーでっせ。失礼な! まるで、極悪人の心臓を移植されてもらった人間が犯罪に走るかのようなイメージじゃないか???これじゃ。
「L.A.コンフィデンシャル」の脚本家の作品だけあって、 よく練れており、アクション、ロマンス、スリルのバランスが 絶妙。
本作はかなりヘビーな展開で死人も多く出る。 心臓と命、テーマも重い。 その重苦しさを救うのが、脚本のユーモアセンス。
ドーナツのシーンはかなり笑えた。 ピザかと思ったぞ、あの巨大な箱。 ゴツい男が3人で気まずい雰囲気の中もそもそドーナツ食ってるシーンは、今思い出してもかなり笑える。 イーストウッドはこういう軽さも持っている。
そして、どんどんヘビーになる展開のガス抜き役、怒りっぽいアランゴ刑事を演じるポール・ロドリゲスがナイス! 血圧高そうですな、かなり。
原作はどうも、マッケイレブは40代半ばらしく、病気のため早期退役という設定のようだが、72才のイーストウッドが特に若作りなしで(気持ちだけはかなり若い)、イメージ的には60代の初老の男の雰囲気で演じていた。一切年齢について言及するシーンがないのは意図的にだろ。
ただ釣りするだけの老人に未来があった妹の心臓が、と思えば 姉さんのやり場のない怒りもなおさらだし、 お迎えが来る前に、やり残したことを片づけよう、という固い決意もわかりやすい。
一見してかなりご高齢のイーストウッドがヨロヨロゼーハー走り回るのを見てると、映画の本来のストーリーとは違うトコロでものすんごいハラハラした。 『ハンテッド』のトミー・リー・ジョーンズの走りも別の意味で スリリングだったが、それ以上。
1本の映画にこれだけいろいろな要素を盛り込み、きっちり勧善懲悪でオトすあたり、イーストウッドらしく、安心して観ていられる。(いや、ヘンだな。安心して、スリルを楽しめるというか、気持ちよく終わってくれるだろうという安心感だな)
イーストウッド、今回も上半身脱ぎっと脱いでくれます。 親子くらい年齢差あるセクシーな女優さんとラブシーンありです。 そこはもうつっこんじゃいけません。 腹上死するのか!?とかハラハラしちゃいけませんw 彼が監督なんですから、しかたありません(何が
まぁ、あれです。 「ユージュアル・サスペクツ」できっとみんなが思った、 あれだけの俳優をそんな小さい役で出すわけないじゃんね、 やっぱりね、というツッコみは入れていいかも。
豪華キャストはイーストウッド作品の特徴だけに、逆に、 あまりにも無名な人を出してしまうとかえって疑わしくなるような気もするのだ。 キャスティングは難しいですな。
あと、字幕が親切すぎるような。 アレでわかってしまいました・・・。 いや、これ吹き替えどうしたんだろう、と。 英語の綴りがキーになっているものね。 でも、どうやって宿命の対決にもってゆくのかが楽しみになった ので、途中でカンづいてしまっても充分ラストまで楽しめます。
落ち着いたウェルメイドなサスペンスで、グロテスクなシーンも エロティックなシーンもないので(イーストウッドの枯れ木のような上半身は見られても、女優さんは乳ポロリすらありません チッ)、 家族揃って楽しめるサスペンスでしょう。
なんか、最近私、コメントの口調が一定しませんねぇ。 突然ですます調になったりもうぐちゃぐちゃですが、 作文の成績悪かったんですw てへ✿ฺ
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