お茶の間 de 映画
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2004年09月21日(火) 「ディープ・ブルー」 海洋ドキュメンタリーであり音と映像の芸術品!ホラーより怖くアクションより激しくファンタジーより幻想的。

ディープ・ブルー【DEEP BLUE】イギリス=ドイツ
監督:アラステア・フォザーギル/アンディ・バイヤット
音楽:ジョージ・フェントン
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ナレーション:マイケル・ガンボン

ストーリー用ライン


展開性のあるストーリーは特にない。
海で暮らす生き物たちの姿、海岸、浅瀬から海鳥、海中、そして
光届かぬ深海まで・・・を、壮大な音楽に乗せて克明に描き出す。


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コメント用ライン


どうしても劇場で観ておきたかった作品だった。
もともとネイチュア・ドキュメンタリーが好きで、『WATARIDORI』や『ミクロコスモス』も大好きだ。
こういうものをみるたび、人間は大自然の神秘のほんの数ミリの
存在に過ぎないのだと圧倒される。

本作も、期待を裏切らない美しさ。
撮影に4年半、フィルムは7000時間、ロケ地は200カ所以上という、まさに執念の大作だ。

今まで映画音楽は引き受けなかったベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が名演奏を聴かせてくれるし、波の音、生き物のたてる音、
耳にし、目にしているうちに心地よい酩酊感に襲われる。

しかし、『WATARIDORI』や『ミクロコスモス』に決定的に及ばない点がある・・・。
ズバリ、構成力。
上の2作はフランス、本作はドイツ資本のBBC製作。
英国にドイツ・・・・真面目すぎるといえばいいのか、ドキュメンタリー色がかなり強く構成に芸術的センが不足している。
かといって、TV番組のように“この生物は・・・”などと
野暮な説明は入らない。

調べてみたら、この映像はすでに2002年に日本ではNHKで
「海・青き大自然」としてシリーズ放送されている。
こちらは全8巻、DVDが発売されている。
それを劇場版として再編成したもののようだ。
(BBCでは“BLUE PLANET”のタイトルで放送)
シーンの切り替えが唐突だったり、“つなぎ”にセンスがないと
思ったら、やはりつぎはぎだったか・・・。

ただ、つぎはぎといっても、何しろ元の素材が素材だ。
“映画”の命は脚本と編集にあると私は思っている。
選ばれた映像はどれもトリハダものの想像を絶するものばかり。
それだけに、惜しい、とにかく惜しい。

それでも、撮影スタッフの命がけの執念、まさに鬼の一念岩をも通すのど根性がなければ撮れるはずのない映像を目の当たりにするだに、やはり大画面で拝めてよかった、と思う。

後々DVD化されてからでもよいので、是非、ご覧いただきたい。

巨大シャチがアザラシの赤ん坊をなぶり殺しにするのも、
珊瑚が珊瑚を生きたままじわじわと補食するのも、カニが大挙して
前に歩くのも、太古の昔から繰り返されてきた海のならわし。

エラ呼吸をやめて陸に上がった生き物から進化した人類は、
ただ海の懐の深さを畏れ敬うのみ。

カワイイw とか、うっそぉ可哀想〜とか言いそうな人とはこの映画、一緒に観ないほうがいいでしょう。

黙って1人でじっくり鑑賞することをオススメします。



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