お茶の間 de 映画
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2004年08月13日(金) 「アンダーワールド」面白ぉい♪謀略、スリル、悲恋、アクション満載のゴシックホラブルダークファンタジーを満喫。

アンダーワールド【UNDERWORLD】2003年・米

監督:レン・ワイズマン 
原案:レン・ワイズマン/ケヴィン・グレイヴォー
ダニー・マクブライド 
脚本:ダニー・マクブライド 
撮影:トニー・ピアース=ロバーツ 
音楽:ポール・ハスリンジャー 


俳優:ケイト・ベッキンセイル(吸血鬼、処刑人セリーン)
  スコット・スピードマン(狼男族に追われる人間、マイケル)
  シェーン・ブローリー(吸血鬼アジトのリーダー、クレイヴン)
  ビル・ナイ(吸血鬼族元老院の1人、ビクター)
  ソフィア・マイルズ(吸血鬼、クレイヴンの側近、エリカ)
  ロビー・ギー(吸血鬼戦闘隊長、カーン)
  マイケル・シーン(狼男族長、ルシアン)
  アーウィン・レダー(狼男族科学者、ジンゲ)
  ケヴィン・グレイヴォー(狼男族戦闘隊長、レイズ)

ストーリー用ライン


はるか古より、吸血鬼族(ヴァンパイア)と狼男族(ライカン)の激しい抗争は続いていた。
だが、数百年前にライカン最強の男、ルシアンが討たれ、現在の形勢は明らかにヴァンパイアが有利な状況。

通常は人間と同じ姿の彼らは、それぞれのアジトで息を潜めている。

ヴァンパイアたちは、数日後に華々しい祝典を控え屋敷内は祝賀ムード。3人いる元老院の長老の交替のセレモニーがある。
3人の長老は、およそ2世紀ごとに蘇り、交替で仲間を治めている。

この屋敷にはマーカス長老とビクター長老が眠っており、
もうじき、甦ったアメリア長老が欧州から訪れ、全世界のヴァンパイアの総本山であるこの屋敷を治めることになっているのだ。
ビクターが眠りについてから、アメリアが醒めるまで長老不在のこの数百年は、ビクターが後任に指名したクレイヴンが一族を束ねている。
このクレイヴンという男こそが、宿敵ルシアンを討ち取り、腕の皮を剥いで持ち帰った英雄であり、その実力ゆえに後継者に指名されたという噂だ。そしてクレイヴンはビクターが娘同然に育て愛でた美しいセリーンを娶ることを望んでいる・・・・。

ライカン処刑人であるセリーンは、じきにライカンが完全に
滅び、戦闘員である自らのアイデンティティーを失うことをおそれはじめてもいた・・・。敬愛するビクター長老の屋敷で尊大に振る舞うクレイヴンの妻になるつもりは毛頭ない。

今夜は霧雨。数人のライカンを地下鉄入り口付近で発見したセリーンは黒猫のようにあとをつけ殺害のチャンスを伺うが、ライカンの勇猛な戦闘隊長レイズに気配を悟られ、地下鉄構内は戦場と化す。

1人の人間の青年が巻き込まれてしまった。セリーンは咄嗟にその
青年マイケルを護り保護する。
ライカンが補食の目的以外で人間をつけねらうなど、あり得ないからだ。

クレイヴンに、地下鉄の坑道奥に恐らく大規模なライカンのアジトがあること、特定の人間を執拗に追う理由が気になることを
報告するが、クレイヴンはまったく相手にせず、セリーンに戦闘から外れるよう命じるのだった。

セリーンは一族の危機を感じ、禁を冒し、先代長老ビクターを一世紀以上も早く甦らせ、クレイヴンの裏切りを報告しようとする。長老以外のヴァンパイアの越権行為であり、重罪だと知りつつ。


その頃・・・・。
ライカンたちのアジトでは、秘密裏にある実験が科学者ジンゲにより進められていた。ある特定の姓の人間の男を次々に捕獲しては
血液を採取している。

そして、ヴァンパイアたちはまだ知らない。クレイヴンを除いて。
あの最強の狼男、ルシアンが実は生き延びていたことを。

ルシアンはついに、ある確信を持ってマイケルに噛みつき少量の血液を採取してきた・・・・。

互いに敵であるはずのルシアンとクレイヴンの「密約」とは?
ライカンの狙いは何処にあるのか。

この長きにわたる抗争の、真の原因は何処に?

マイケルの「血」の意味するものは。
セリーンが真に倒すべき仇とは。
そして数世紀前の哀しい過去が明かされる・・・・・・。

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コメント用ライン


悲恋とゴシックな雰囲気はやや『ブレイド2』に近いところがある
のだが、娯楽作品としては本作のほうがあらゆる要素がてんこもりでかなりオナカイッパイになれる。

もともと美術畑のレン・ワイズマンの初監督作品。
全編真っ暗だが単調にならず、ゴシックとハイテクの絶妙なミクスチャーが美しい。

CGで片づけず、俳優たちがスタントをかなり頑張っているのも
薄っぺらくなっていない勝因だろう。
DVDで鑑賞すると、特典に技術面の解説がかなり詳細に含まれているので、オススメだ。

細かいことを言い出すとアレ?という部分はあるにはあるのだが、
『サラマンダー』ほど破綻していない(※管理人は『サラマンダー』好き)。というより、頑張ったなぁ、と感心するほどよく詰めてあると思う。

でも、1つだけ、いい?
狼男族、女性が1人もいないけど、細胞分裂で増えてるんじゃないんだから(ちゃんと恋して結婚している)、1人くらい見せてほしかったなぁ。狼女に変身するライカンの女戦士たち。
なにしろ狼オトコ族だもんな・・・・。
いや、つっこむのやめよう。
勝手な解釈その1。ライカンは人間の女性に子供を産ませ、男子だった場合はライカンになり、女子だった場合、人間になる。したがってライカンのアジトには女コドモはいない。
その2。戦闘員は野郎どもだけ。妻子はアジトの奥でおとなしく隠れている。
その3。“あの事件”がおこってから泥沼の抗争になったので、
ライカンだが変身して戦闘する能力がない女子供はヴァンパイアにすでに滅ぼされつくした。
なにしろ長寿な方々ゆえ、子孫残さなくても何世紀でも大丈夫。
これがイチバンまともか。
もうじき全滅しそうって前フリがあったことだし。
種族を根絶やしにするには、まず婦女子を絶やすもんな。

・・・・・ま、いいや。ファンタジーにツっこみを入れるのは、ストーリーが破綻しそうなときだけでいいや。ね。(ね、ってねぇ)

登場人物の誰に肩入れして観るか、基本的には主人公のセリーンがヴァンパイアなので、異物感を感じながらも観客はしかたなくヴァンパイアに肩入れしながら観ることになるのだが、ライカン側の事情を知って非常に複雑な感覚を味わう。
どっちにも「正義」はないからだ。
残忍な手口で罪なき者を巻き込みながらの憎悪にまみれたライカンの復讐劇。
それでも、ルシアンはあまりに哀しく、ヴァンパイアに憤りを感じてしまうようになる。
中途半端な小悪党のクレイヴンの描き方がうまい。

グレーゾーンを存在させることで、バッサリと善悪白黒明白な二元論に収まらず、いい意味で気持ちの悪さを残してくれる演出が面白い。
続編は創ろうと思えば非常に創りやすいエンディングだが、
異なる種族の抗争というのは、不幸にも永劫に続く、という
完結でもよいような気がする。



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