股・戯れ言
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スピーク・ウチナーグチ・ジャパニーズ労働者階級

3ヶ月に一度の恒例っつうことで


ま た 沖 縄 に 行 っ て き ま し た 


もはや習慣化したといっても過言ではないよな。
初めて沖縄に行ったのが去年の3月31日であるから、これで約1年でありますよ。
そういや去年の今頃は
「南国は初めてで、知り合いもいないし、泡盛で泥酔とか失敗をしたことがあったからコエーよ」
なんて書いていたんだよなあ。今となっては大笑いな記述でしかないね。私は自分でも不思議なくらい沖縄という土地に吸い寄せられて、いろんな繋がりができて、楽しいことはもちろんのこと、悩めることも苦しいことも越えて今に至っているんだから。いつ行っても3ヶ月のブランクなんか全然なかったかのようにすんなりと溶け込める所がいいよなあ。これからもお世話になります。末永くどうかよろしく。

渡航には目的なんてなんもありません。
ある日の帰り道に、ふと、「あーもう3月か、そういえば3ヶ月行ってないな」と思ったくらいか。沖縄にいる自分を思い浮かべてしまったらもう行かずにはいられませんでした。なんというか、沖縄には「パーマン」のコピー人形のようなアナザーというかサブの自分がいて、メインの私の知らないところで毎日呑んでへらへらと笑い腐っているような気がする。そんなサブの身分で俺よりたのしい毎日を送っているのは許せんぞ、日常交代しろやい、っていう感覚。まあ、完全妄想ですが。でもそんな気がしてほんとにならないよ。でなきゃ、あんなに普通にブランクなしで皆話したりしないような気がするもんな。
今回は短い滞在であったけれど、毎度会う人にはほとんど会ったなー。そしてまた新たな知り合いもできたし。
しかもビデオカメラでノイズミュージックを表すという斬新なパフォーマーの青年であるよ。ああ、なんで沖縄で出会う人はこうも一筋縄でいかないのかなあ!最大限の褒め言葉ですよもちろん!


さて、そんな予定はまったく決まっちゃいない来沖なのですが、
行く前から「桜坂劇場」という映画館のプログラムだけはちょくちょくチェックしておりました。
ここの映画館は、ほんっっっとにいい映画しか上映しないのですよ。
東京で上映されている映画の中で、「あ、この映画見たいな」と思った映画が軒並み上映されるのです。桜坂劇場は私の脳みその中を読み取れるんではないのか?と思うほどドンピシャな映画しか上映しないのです。
ちなみに今回行った際に上映していたのは
「悶絶!どんでん返し」
「僕の恋、彼の秘密」
「インサイド・ディープ・スロート」
でありました。
すごいよなあ、このラインナップ。
3本ともこの日記やら某所やらで取り上げたよ。(ディープスロートは微妙に違うがNO問題)「僕の恋、彼の秘密」はここでは書いてないけど。完全なる80年代やおいマンガ実写版ですよ。真の意味での「ヤマなしイミなしオチなし」。
単に単館映画だけにとどまらず、映画秘宝方面にも精通しているいい映画館ですよ。東京にあったら通い詰めるわいやホント。
2階が中古アナログ屋であるのも素晴らしい。
そして奇遇なことに、友人が桜坂劇場で働いておるのです。沖縄に行くと彼女と映画や音楽の話がどこまででもできるのも好きなんです。ここまでいろいろ話せる同い年女子は他にはちょっと思いつかないくらいだ。

奥田英朗は自身の旅行記で「自分はどこに旅しても映画を見るくらいしか思いつかない人間だ」と、ちょっと恥じたように書いていて、沖縄でも映画館に通っていたようですが、桜坂劇場で映画を見ることに関しては全然恥じることではないと思うのです。
むしろ桜坂で映画を見るために沖縄に足を運ぶよ俺は。(ノー目的じゃねえのな結局)
思えば、私が初めて沖縄に来たとき、「桜坂の映画館が4月で閉鎖になってしまうんだって」って話を聞いたんだった。当時私は桜坂のことも沖縄の映画館事情のこともまったく知らなかったんだが、映画館がなくなるという話には悲痛な気持ちにさせられたもんだ。
「桜坂はいい映画しかやらない」と見ず知らずのおじさんが言ってた。タクシーの運転手の人も「桜坂といえば映画とおかまパブさねー」と言ってた。おかまパブはともかく、桜坂はそういう場所なのだ。(ちなみにその運転手さんは「私がもうちょっと若いときに桜坂のおかまパブ知ってたら、毎日通ってたね〜」とも言っていたが)
しかし、劇的なことになくならなかったんである。
正確には、昔ながらの映画館はなくなってしまったけど、すぐ後にオープンしたのが今の桜坂劇場なのです。
映画好きな人たちが、桜坂から映画を失くしたくなくて再びオープンさせたんだろうな。いや、真相は知らないが。



というわけで、桜坂劇場に足を運んだんですが、今回の目的は映画ではありませんでした。
前ふり全然関係ねえじゃん!
と思われるかもしれないが、桜坂劇場ではライブもやっているのですよ。それもまたいい人選なんだ。
今回見に行ったのはコレでした。


桜坂劇場 LIVE information
友部正人ライブ2006
『Speak Japanese American』
3月4日(土) ホールB

出演:友部正人
スペシャルゲスト:寺岡呼人


詳しくは火曜日更新のキタコレ!戯れ言に書く予定。
友部正人さんはひょうひょうとしていて、髪の毛が「海を見に行ったら風が強くてぐしゃぐしゃになって」(本人談)しまっていて、それでいて歌声は力強くて、ギターの音色は凛としていて、彼の言葉は場所や空気や情景や、彼の心の中の風景すべてを見事に再生していた。
日本語がわかるって素敵なことなんだなあ。
ごくごくありふれた日常の中で、そんなこと考えなくてもいいのに、考えなくても世界はぐるぐる回っていくのに、というようなことを私は時々考えて、勝手に違和感を感じて胸を痛めたりするのだけれど、友部正人さんはそういうことですら歌っていた。詩にしていた。言葉にするということはすごく勇気がいることだ。でも友部さんは歌う。凛々しい人だな、と思った。とてもまっすぐだ。
一本道もジョージアジョージアオンマイマインドも、朝の電話もすべてが素晴らしかったんだが、
「アメリカの匂いのしないところ」という詩が、なんでこんなにも心に突き刺さるんだろう。化粧が剥げてしまった。
一晩明けた今も自分の中で、友部さんの声で再生されっぱなしだ。しかも一曲リピートで。

寺岡コールマン(マーク・コールマン風)は久々に見たよ。全然年取ってないなと思った。
まあ「寺田」もやってたからあれだが、すっかりギタリストなんだな。

最後の最後で「もうひとりのスペシャルゲストです!」という紹介にのって出てきたのが内田勘太郎!
目が点になってしまいましたわ。
3人のセッションは4曲で終わってしまったが、このアンコールの時間があと2時間続けばいいのに、と真剣に思った。
向かって右側のスツールに腰掛けてギターを弾く勘太郎氏を目の前で見ることができたのだが、ポケットをがさごそと探って、「あ、あったー」という顔でカルピスの瓶のバーを取り出した姿には見ているこっちが嬉しくて顔がにやけてしまったよ。あやうく恋してしまうところだったぜ。
ああ、あんまり書くのはやめとこ。詳しくは火曜日にキタコレ!のほうで。



その後はいつも通り那覇の夜を呑んで過ごしたんだけど、ライブの興奮が醒めなくて「友部さんすげかった!勘太郎さんかこよかった!」といろんな人に言ってたら、
「えええ!勘太郎さん出てたんだ!あの人、痛風なんだよ〜」
と教えてくれた方がいた。そうなのか。「老眼で楽譜が見えん」とはライブ中に言っていたが。


その夜は、自宅から持ってった「池怜子 恍惚の世界」を観覧車でかけて皆で聴き入る。



土曜の夜だったので店は満員だったが、玲子の悩殺ボイスが無意味に入るたびに全員爆笑。
「よこはま たそがれ」や「夜明けのスキャット」にどピンク映画声だからな。ゲラゲラゲラゲラゲラ。
「恋の奴隷」にいたっては何故かオープニングに鞭の音が。これ笑わせたいだけだろうよ。
隣に座ってたおじさんが、
「池玲子のポルノ映画は高校のときよく見に行ったさー」
「高校生時代はこれ聞いただけでもボクは全然イケたよー」
と苦笑交じりにいっておりましたよ。本音だろうな。



やっぱり沖縄はいいな、楽しくてたまらんな。
でも今回はたったの3日弱の滞在でありましたよ。
まあまた行くからいいさ。



で、今(午前2時半)。労働中ス。つれー。
でもこのメインの自分のつらい労働があるから、サブと入れ替わる時に楽しさが倍増になるんだよな。
そうやって自分をだましだましでまたしばらくやってくとしよう。
2006年03月06日(月)

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