股・戯れ言
BBS

リアル鉄子の旅 秘境駅眺め二本場

(前回の続き)

そうは問屋が卸さないのです。
問屋って誰だ?俺だ。


翌日、9月24日
昼間に友人と電話で話していて、急に思いついたかのように長野県に出かけることにする。
ほんとに思いつき。思いつきの機動力はすごい。
目的は、鉄子を読んでいる人にとってはただひとつ。

飯田線に乗りたい━━━━(°∀°)━━━━!!!!!!!!!!

これだけです。それだけのために高速バス乗車。
友人と落ち合ってまずは呑み。飯田の日本酒は喜久水率95%くらいなんだが、この日行った店ではなぜか沖縄気分を引きずって泡盛ばかり。しかも沖縄では全然飲まなかった「時雨」をよく飲んだ。今まであまり注目して見ていなかったのだけれど、時雨はラベルがかわいいのだな。
泡盛をたんまり飲んだ後に、満を持して「大信州」
超辛口の純吟だったのですが、これが口当たりが素晴らしくよい。スキッとしていて、無駄がない。キレ味も抜群。
これは美味だなーいくらでも呑める。超辛口ということでいろいろな覚悟をして口にしたけれど、辛口なことはあまり気にならず、とにかくスッキリした酒だった。水がいいんだろうな。あまりスッキリばかり強調していると「じゃあ旨味はあまりないのか」と突っ込まれそうだけど、スッキリしているのに米の旨味も十分堪能できるからすごい。
口の中にアルプス山脈がそびえたち、、そこから広大な平野に澄んだ川が広がるかのよう。まさに大信州。

その後は地方で飲むといったらスナックにいかなきゃ始まらないってんでスナックへ。
といってもどこが行き着けとかは何もないので、適当に選んだのは「モンブラン」という店だった。
なんとなく「紋舞らん」っぽいからくらいの理由。
ちょうどマスターが帰るところだったので「あ、もう閉店ですかね?」と尋ねたところ
「いやぁさあ、客が来ないから今閉めようと思ってたところなんだよねええ」

↑なぜおもしろくもなんともない一文をわざわざ太字にしているのかというと、
このマスター、とてつもなく声がでかかったのですよ。この声のでかさを表現するには文字をでかくするか太字にするかしか思いつかん。とにかくデカい。私も声デカイと散々言われてきたが、私の声のデカさなどは平幕力士、よくて小結くらいなもんだった。
このマスターが横綱であるならば。
そしてマスターは話好きなんだろうか、いろんなことが飛び出す飛び出す。

「飯田は香川県より大きいんだよ!」
「飯田にある飲み屋の数は全国2位」
「飯田には沖縄の人が多い」
「俺はゴスペルを習っている」

溢れる飯田愛、そして声のでかさ納得。
スナックなんでウィスキー水割りをずっと飲んでいたのだけど、マスターの厚意で「夢想仙楽」という焼酎をいただく。
これが焼酎なのにほぼ洋酒。
聞けばシェリー酒を漬けた後の樽で熟成させているらしい。そりゃ洋酒の味がするわな。
焼酎のクセが好きになれずにいたのだけれど、これはいい。私もやっと焼酎に一歩近づいた。


という具合に大酔っ払いナイトだったので、翌日起きることができないんではないかとヒヤヒヤしたが、
なんとか午前中に起床。鉄ならば早起きをしなければならなかったのだけど、早朝に起きることが不可能なことはあらかじめわかっていたので寝る前に時刻表を見ておいたのだった。
なんつっても飯田線は2時間に一本だから。
酒が残ったまま、駅へ。
電車の中で駅弁を食おうと思ったのだけど、「飯田駅には駅弁は売っていない」と言われたのでユニーで炒飯弁当を購入。
乗り込んだ後、弁当を食おうとしたらスプーンも箸もついてなくてあせった。
が、友人が機転をきかせて箸を二膳貰っておいてくれたので難を逃れる。

さて、今回の飯田線乗車の目的は、本来は「秘境駅で降りてみたい」だったのだけど
秘境駅で降りた場合には容易に戻ってこれないことがわかっていたので、秘境駅を通り過ぎてみる、にとどまる。
ちなみに秘境駅というのは

「秘境駅(ひきょうえき)は、山奥や原野など、人里から離れた箇所に所在する過疎地の鉄道駅を指した鉄道ファンによる呼称。
鉄道路線と集落までの間に距離がある、登山などの目的の人が利用する、昔は集落があったが過疎化により消滅したなどの理由によって、人家のほとんどない地帯に存在する。当然、日常的に利用する人はほとんどおらず、また列車の停車本数が少ないケースが多いが、一部の鉄道ファンには人気がある。しかし日常的に利用する人がいないことから、昨今では駅や場合によっては路線自体が廃止される事が多く、そういった秘境駅は減少傾向にあるといえる。」(ウィキペディアより引用)

のことでございます。
「鉄子の旅」にもよく出てくるのですが、秘境駅といったらなんつっても牛山隆信氏の
「秘境駅へ行こう」
なんですよ!これはスゴイ!見ているだけで秘境駅に行きたくなる!(人差し指を激しく振りながら)
この「秘境駅へ行こう」のページを見ればおわかりになると思うのですが、
飯田線は全国屈指の秘境駅を有する路線なのです。
秘境駅ランキング1〜10位の中に2駅も送り込んでいるのは飯田線だけだ。北海道だって叶いやしない。
そんな人里離れたところにひっそりと位置する秘境駅、飯田駅からもさぞ遠いのだろうと思っていたのですが・・・

飯田からは1時間以内で行けるのな
しかも天竜峡を越えたところからはすべて秘境駅という素晴らしいロケーションなのだ。
おそるべし飯田線。

とりあえず、我々は「平岡」という駅を目指すことにしました。
この秘境駅銀座の中ではまだ大きい駅らしい。始発も出るし終点でもあるし、特急も止まるし。
天竜峡までは普通の町並み。若干畑が多くなるが、天竜川もまだ暴れ狂ってないし、天竜峡なんか駅にライン下りの船頭さんの格好をさせられたマネキン(バタくさい顔)が置いてあるしで十分観光地である。
しかし、天竜峡駅を出発し、トンネルを抜けるとそこから景色は一転する。

天竜峡駅


トンネル

千代駅


なんだこの差。ちなみに進行方向に向かって左側は全部ガケで、右側は天竜川ギリギリ。
こんなとこを6区間も進んでいくのです。トンネルばかりなんだけど。
トンネルとトンネルの間にかろうじて駅があり、その駅は崖ぎりぎりのところにへばりついているだけ。あたりに人の気配はない。
ちなみに千代駅は秘境駅だったけど、歌謡曲のカセットのようなものが流れているのが、僅かに停車した時に聞こえてきた。
天竜峡下りを終えた人たちらしき人たちを乗せたワゴン車が止まっていたから、いちおう客寄せのつもりだったんだろうか。

この区間にはもちろん秘境駅でない駅も含まれておりました。
ひとつは門倉駅。横に泰阜ダムと発電所がある。長野在住の友人が「ペログリ知事はここに住民票を移そうとしてたんだ」と教えてくれた。秘境駅ではないと言っても人の影はあまりないんだが。
もうひとつは温田駅。ここでは高校生がたくさん下車していきました。白線流しを勝手に連想してみた。

それ以外はすべて秘境駅。とくに印象的だったのは為栗という駅か。
吊り橋のようなものが見えたけど人がまったくいないから、朽ち果ててそうだ。こえー。
駅よりも何よりも、一番印象に残っているのは天竜川なのだけどね。とにかくでかい。雄大。日本にもまだ大自然は残っているんだなー。これぞ手つかず。あと天竜川ってサンダーストームがものすごく起きそうで、すなわち強そうだ。チョップとか効くぜ、絶対に。
ちなみに田本駅には男性がいたけど乗ってこなかった。あれは間違いなく鉄ヲタだろう。

そして平岡駅。
天龍村(それにしてもこっちも強そうな村だな)というところにあり、このあたりにしてはデカい駅なので、駅舎も立派。
駅舎に温泉と宿泊施設がくっついていて、こーれは温泉に入るしかないだろう、と思われたが、私に月のモノがきていたので温泉入浴断念。
かわりにせっかくなので天竜川の近くまで行くことにする。駅からも川が見えるのですぐ着くだろうと思ったんだけど
実は、高低差がハンパないのだった。傾斜60度はあったねありゃ。
民家と民家の間の細い階段をすりぬけて(まるで「転校生」のようでした)、道をくだってくだっていっても人のいる気配がまったくない。全部廃屋?ゴーストタウンなのかね、と思ってたら、川近くのゲートボール場(ここも平地ではなかった、難易度高)にお年寄りが大集合であった。日曜の昼下がりだったからね。

橋を渡ってなんとか河原についたものの、河原は石っつーか岩が盛りだくさん。
おまけにこの日は快晴。紫外線を遮るものは何もないので、どんどん肌が焼けていくのを実感できる。
友人が「長野は沖縄に次いで紫外線が強いところなんだって」と言っていたが、私はなんで紫外線が強いところばかり渡り歩いているのだ。ちなみに新潟でも土方並みに焼けたし。
そんな炎天下の中、弁当の残りをつまみながら橋口亮輔監督の映画の話といういつも通りのどうでもいい会話をしていたような。
なぜ大自然のほとりで「渚のシンドバット」や「二十歳の微熱」の話なんだか。
いい加減肌も焼けたので、戻ることにする。今度は岩を渡って戻ることにしたのだが、結構川の中に岩が転がっているのにこれが結構サバイバル。「風雲!たけし城」の発泡スチロールの岩を渡って向こう岸にたどり着くゲームのようだった。
川を渡り終えてもサバイバルは終わらない。
今度は駅に向かって細い道を登っていかねばならなかったから。民家の横をすりぬけてすりぬけて、迷路のような道を「たぶんこっちだろう」「ここの道でいいはず」と進んでいったら無事駅にたどり着いて一安心。
すっかり汗だく。
ちなみに駅には売店があったのだけれど、普通のさばの缶詰のようなものが100円で売っていたり、「ドラゴン商品券」というどこで使えるか不明な商品券を扱っていたりしてなかなか味わい深かった。
そして駅長さんがサービス精神満点。こういう駅はいつまでも残っていただきたいものだ。


で、帰りは特急「ワイドビュー伊那路」で帰る俺たち。


ローカル線旅には邪道!と思われるかもしれないが、この特急に乗らないと東京に戻るバスに間に合わなかったんだ。やむなし。
次回は是非とも秘境駅下車を果たしたいものである。駅寝はしないけどね。


そして明日はちょっくら宮崎行ってきますわー
ちょうど「勝手に観光協会」でも宮崎編やっていたのでナイスタイミング。
南九州初上陸なのです。まあ、今回は飛行機ですけどね(前回熊本行った時は夜行列車利用)

2005年10月04日(火)

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