股・戯れ言
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夏の北国行きで 極上酒を呑みに行くの 中編その1

水曜は東京で仕事して、木曜日。

木曜日は台風が関東を直撃するとかなんとかで、大雨につぐ大雨。
あまり気にせずにいたんだけど、会社がなぜか4時で業務終了するという。台風で交通機関動かなくなるかもだから。家から会社までなんの公共交通機関を使うこともないわたくしにとっては単に「会社早く終わるぜやったー」という決定なんで喜んで家に帰ろうとしたところ、
「この台風、関東上陸して明日には東北に向かっていくらしいよ」
と言われて、ちょっと経ってから
「あ、私の移動と同じ経路じゃないか」
ということに気づく。
先日、地震で東北新幹線が止まったばかりなのでこりゃー台風もやばいんではないか。台風と地震は全然別物だが。災害というでかいカテゴリーでくくれば一緒かもしれないが。
そんなわけで一日早めに仙台入りすることにケテーイ。
気がつけば月火木金土で仙台という結果に。水曜日帰った意味がワカンナイヨ!
東京駅は台風の影響で人がうじゃうじゃ。やだなー新幹線激混みだったらと思っていたがなんとか席確保。
なんだかしらないがこの新幹線、仙台行きなのに空いているな。

と思ったら仙台行きの「各駅停車」やまびこに乗ってました。
なんだよ!
東北新幹線も各駅停車はこだまみたいな名前つけろよ!

そして宇都宮あたりまでは大雨降りまくっていたけれど、
福島以北は雨降ってないでやんの。ばかたれ。

仙台に着いてから知ったのだけど、東京駅が人いっぱいだったのは東北新幹線ではなく東海道新幹線が止まったからだったらしい。
・・・。まあいいや。


福島以北雨ふってねーじゃねーかよと思っていたけども、仙台は結構雨が降っていてジーンズびしょ濡れ。スーツ着てこなくてよかった。ゴム草履はいててよかった。
急遽仙台泊となったのでホテルがなかなか取れなくて苦労。なんとか取れたところはツインルームでございました。ああ、ツインルームをひとりで使うのはほんとに快適だ。この快適から抜け出せそうにないわ。
そして雨ザーザーだけど、翌日は作業午後からなんで今日はいくらでも飲めるぜということに気づき11時過ぎにのそのそと外出。
台風ボーナスの夜は!
国分町で飲みですよ!
国分町は雨だろうと台風だろうと人が多いのな。なんで多いのかと思ったらキャバやホストクラブの客引きが多かっただけだったけども。さすがは東北一の繁華街。雨にも負けず風にも負けず精神、ってそれは岩手だった。失敬。

店の外に一升瓶の空き瓶がたくさんある店があったんで、のこのこと入ってみたら日本酒の種類がめちゃくちゃ多い店で大当たり〜でございました。黒龍がやたらいっぱいある。純吟いただきました。
しっかりとした味が味蕾直撃。口の中にテロテロと流れていくミルフィーユのよな味の階層だな、と思ってたら説明文には「十二単のようなハーモニー」と書いてあった。そっちのほうが表現的にイイ。美しい。
黒龍は口の中に膨らんでいくとか広がっていく、というより伸びていくようなお酒だなー。
そこが龍たる所以なのか。
あと黒龍はラベルが麗しい。フェルト使ったりいろんな金糸が織り込まれていたりで、デザインというより素材に対するこだわりが、こんなところにも表面化しているのが、一本筋が通っているようで気高い。気高い酒ですよホント。
この店、よく見たら義侠が置いてあるのですっかり釘付けになってしまい、でも義侠を二発目に呑んでしまったら他を飲む気になんねーなーどうしようかしらと思ってたら、「義侠好きなんですか?」と聞かれ、「そうなんですよ、見かけたらまず呑まなきゃと思ってしまうのですよ」と答えたところ、お店の方が
「先日、義侠の酒蔵に行ってきたんですよ!そこで社長にお土産もらって・・・」
と出していただいたのが、なんとまあ、
義侠熟成酒「若水1993」!!!!!
12年モノの古酒でした。日本酒の古酒(正確には日本酒の熟成酒と言わねばいかんらしい)を見るのは由利正宗以来だなー。
もう色が、惚れ惚れするような琥珀色なのです。うっとり。
心底うらやましく思いながら眺めていたら、飲ませてもらえました。生きててよかった。


グラスに注がれた琥珀色の液体は、溶かされた飴のようにトロトロとしているのです。
長年眠り続けた酒は溶けるのだな、と思う。甘美な重みが重力に引っ張られてグラスの底に沈んでいく様は・・・棒で練った練り飴を口にする時のような興奮を抑えきれない。ああ、早く呑んでしまいたい。眠っている間に時間に練られて、凝縮された濃さを味わいたい!
以前書いたけれど、義侠は「ケンカ強そうな酒」「口腔でのふくらみが豪快」「ヒザ蹴り一発どしんとくる」酒なんです。だから好きなんです。甘い/女々しいを一切シャットアウトする酒、それが義侠だと思っておりました。頑なに信じておりました。
この熟成酒も、もう柔道十段とかの老人猛者のような酒だとばかり思っていたので、腹に力をこめて歯を食いしばらんくらいの、まるで猪木に張り手される前のような構えで口にしたのですが





若水は、いや、義侠は私の想像を遥かに超えた酒だった。
ああ、なんという甘さ!(「Ride on time」調)
衝撃である。目の前の酒がまぶしすぎて、また価値観がひとつ更新されて、頭や目の奥がチカチカする。
しかし、舌の上に転がるのはこのうえなく甘い液体。甘い露。甘い玉。珠のように甘美。
珠玉のような、とはまさに若水のこと。
懐深いよ義侠。玉のようなあなた。男の中の男てな感じなのに、女のような側面すらもあるなんて・・・女の如く・・・ボブディランのようだな義侠は。玉門すらも・・・とは言わないでおこう。ラッシュ(ゲディ・リーではなくジョン・レチーな)っぽくなっちゃうからね。





よく日本酒を別の食べ物の味に喩えたりすることがあるけれど、そういうものの半分くらいは「無理やり喩えるなら/あえて言うなれば」であることが多いのだけど(酒は酒だぜ)、
これはもう、自信をもって断言してしまおう。
べっこう飴が酒に化けたのだ。酒と結婚したんだ。酒がべっこう飴を産んだんだ。
台風のおかげで一日早く仙台きてよかった。生きててよかった、ホントに。
結構呑んだが(〆は義侠純米酒)安いお店で素晴らしかったです。店の方の酒好きな人柄が伝わってきた。
酒膳「Zeami」という店でございます。国分町に行った際には行くとよいよ。

そんな感じで気分が乗ったのでこの日は3時過ぎまでハシゴ酒。
台風の夜って楽しいのな。最高だ。


金曜日
翌日起きたら台風どこ吹く風でびっくりした。
皆が働いている時に昼まで寝ていられる喜び。
午後から仕事。ここからはまた次回の日記に続く。



話の時系列が完全に狂うけれども、9月3日4日でハイドパークフェスに行ってきました。
一日目はセンチメンタルシティロマンス(はいからはくちキター!!!!!)や鈴木茂(バンドワゴンの曲盛りだくさん)で盛り上がり、小坂忠にポワーン。なんというかっこいい御仁なんだ。
今や、時代は小坂忠か上田正樹ですね。どんだけああいう顔が、ヒゲが好きなのか。
でも最後に「セイリング」を歌ったのは、なんか蛇足。
会場の大部分を占める50代以上の方々にはたまらなかっただろうけども。合唱が起こってたからな。
二日目はサケロックに始まり、西岡恭蔵トリビュート、次は鈴木兄弟だと言う時に降り出した大雨。
ありえないぞあの豪雨は。でも鈴木弟はかっこいいんだよ。雨音でほとんど聴こえなかったが。
あまりの雨で洪水状態だったので(荷物が流されてた)、どさくさにまぎれて前のほうに行くことができて洪栄龍を間近にみることができたのだけど
「何の為に」が名曲すぎた。そして続く佐野元春。今回のフェスで一番踊ったけど4曲で終わったのには驚いた。
もっとやってくれよー。
そしてそして最後の細野晴臣は・・・ああ、書きたいけど、あまりに素晴らしすぎて・・・ああ・・・
一言で言うと羨ましくて悔しくて、いてもたってもいられない気持ちで胸がいっぱいになった。
私もどこかに行こう。こんなとこにいる場合ではない。
詳しくは後日書きます。
2005年09月05日(月)

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