就職エリート狂走曲 |
風薫るさわやかな季節となりました。 清清しい初夏の朝を皆さんはどう迎えているのでしょうか。 わたくしは某友人男子からの「昨日ソープに行った」という報告メールを朝一に見てしまい、なんだかやるせない気分です。 果てしない脱力感。ゆるい朝だなぁオイ。 桃井かおりばりに頬杖のひとつやふたつも突いてみたいような感じです。つかないけど。
なんてことはともかくとして、今朝は某大企業におります。 待機のお仕事をしているのですが、いつものような機械室待機ではなく、今回は普通のオフィスに普通に座っておるのです。 みなさんスーツびっしりオフィスにはカチカチというキーボードを叩く音のみ!という環境の中で、ひとり作業着でキーボードを叩いてはいるもののさっきからやってることは麻雀ゲームと「股・戯れ言」の更新、という私の姿はなんともまぬけだなぁ。
昨日も仕事だったのだが、さすがは5月の日曜日。 今日とは別の大企業本社にはリクルート学生がわんさかおりました。 そんな中をタバコ吸いながら歩き、門の前で作業着上着に着替えて入館。学生さん方が通される大ホールだか面接室だかではなくごく自然に機械室に通されるという自分。ああ、私にもリクルートスーツでおどおどと会社訪問をしていた時期があったんだけどなぁ、その頃はこんな自堕落エンジニアになるとは思ってもみなかったんだけどなぁ。 会社だって皆が大人で書類の束を担いで廊下をテキパキ走ったりするもんだとばかり思ってました。 上司はダンディズム、同僚は「愛と平成の色男」ばりのビジネスマン(たとえが古い。石田純一なんていても困るが。というか石田純一じゃもう部長クラスの年齢だ)、そして女子なわたくしは合コンに花咲かせるOL・・・
先日偶然「anego」というドラマを見たのだけれど、このドラマに出てくる職場がまさにこのような「就職前に思い描いていた『会社/オフィス』」そのものであった。 コーヒーを他の人の分も入れてきたりする派遣女子なんか見たことないわ。 たくさんの社員の前で「この人、社内恋愛してるんです!」なんて部長にチクる会社見たことないわ。 実際にはこんな職場ねえよ、と思うことしきり。 実際は書類の束なんぞ持ち歩きもしないし、あえて書類の束を皆が持って走ったりするのは「明日重要なお客様が訪問予定なので机の上をきれいにすること」というのが出た時に、皆慌ててシュレッダーの前に駆け込むときくらいだ。 上司はダンディズムどころか「まんこ」とかを平気で言う人だった。 同僚は色男ビジネスマンどころか童貞ボーイばかり。 そして私は「OL」と名乗ろうものなら「OLに謝って来い」と言われるような作業員ぶり200%だ。 合コンは誘いがあるどころか「合コン開いてくれ」と頼まれるほうである。 会社なんてこんなもんだ。
いや、私には到底手の届かなかった大企業というやつは実際には「こんなもんだ」じゃないのかもしれない。 うちのような中小企業の現実がたまたまそれだっただけで、実際の大企業などは「anego」のような会社が多いのかも知れんな。 そんなことを思いつつ、今いるこの某大企業のオフィスを観察してみることにしました。
とりあえずひとつ言えることは、
「男は全員、オタク然とした外見」
ということだ。オタクって語弊があるな。なんて言ったらいいのかなー垢抜けないのである。メガネ率が89%くらいなんだけど、皆、細い銀縁のメガネなのである。 そいで真ん中分けの、最近じゃお目にかかれない髪型の人たちばかりなのである。 格好だけじゃ「オタク」であるかどうかなどは判断できない今日この頃であるため、実際はオタクではないのかもしれない。単に垢抜けないだけなのかもしれない。おかしいな、全員スーツなのにな。 この際、格好は百歩譲ってもいい。 しかし、もっと深刻なのが、私が本日座らせていただいてる席の斜め前にいる方と思われるんだが、とんでもなく「洗濯物の生乾きの臭い」を発しているのである。 くさいよ。 もしかしたら自分が洗濯物生乾き臭を撒き散らしているんではないかと、心配になって何度も自己チェックを行ったんだが、やっぱりこの生乾き臭は別の場所から漂ってくるものであった。 しかも発生源が2箇所くらいあるような感じなのだ。 切ない。ああ、切ない。 大企業のビジネスマンはブルガリの香水の匂いくらいしてもいいものなんだが。 「大企業は洗濯物生乾きの香り」と書くとなんとなく「雨音はショパンの調べ」と似たような言葉だなと思えてしまうのだが、そんなことはどうでもよい。
その洗濯物生乾き臭もさることながら、もっともっと深刻なのが、ここの職場の偉い人らしき人物(推定40代後半)の口調である。 「××さん、ちょいちょい(指で招くしぐさをしながら)」 とさっき言っていたのだ。 ちょいちょいて! それって擬音だろう。マンガで吹き出しの外に書いてある文字だろう。 その擬音が発声されるのを耳にした瞬間 「オタクが老いるということは、とても残酷なことだなぁ」 などと思った。 「ちょいちょい」っての以外にも「たじたじ」とか、「うじうじ」「プンプン」とかいった擬音をいちいち言葉にしたり、ヒヤっとした瞬間に一筋汗が流れ落ちる、という喩え表現をわざわざ指で頬をなぞって、しかもご丁寧なことに「タラーッ」と効果音を入れて表現してしまう人を見るたびに、 「なぜそんなことをわざわざ口にするの?/態度に表すの?」 とずっと疑問に思ってきた。だって不自然な動作じゃないか。 行動のデフォルメというか、感情の大げさ表現はおそらくアニメやマンガが発端になっているんだろうけども、それを実際に自分の身で表現していくと知らないうちに行動だけが習慣となって残るんだね。 だからやってる自分は不自然ともなんとも思わないのだろう。 それがその表現を共有できる相手と一緒にいる間はよいのである。回りも不自然だとは思わないから。 若いうちというのもよいのだろう。若い人は変わった表現をするからね。 さっき貰ってきた「魁!クロマティ高校THE MOVIE」のチラシにも 最近の女子高生は「これって超クロ高?」という言葉を使うとか書いてあったからね。笑えるって意味らしいが。 実際に使ってる人見たことないけど。 私たちの知らないところで言葉は生産されているのだ。
しかし歳をとってそんな言い回しをしていたら単に「みっともない」のである。 単純に「おまえ、ばかだろう」としか思われないのである。 「最近の若者の言い回しが気になる」などと嘆く資格なし。 それどころか、人にいろいろと指導する資格もほとんどなかろう。 「あーこの人、オタク的な言い回しを20年以上使ってきたんだな。バカだろう」 と私だったら思っちゃうけどね。 そして会社という環境は「汗タラーッ」などというジェスチャーや擬音を実際に発音しないで生きてきている人のほうが多いのだから、「周りが俺を理解してくれる→ごく自然な会話」ということもない。 そんな会話するのは普通にきもい。
が、そういう会話が普通にまかり通っていたのだった、某大企業のオフィスは。 ごく自然だった。 ということは「まわりも自然な会話だと思っている」ということなんだろうか。 人を外見で判断してはいけないが、やっぱりオタク的素養の人が多いのかなここは。
まあ、何が言いたいのかというと 「大企業なんてたいしたことねえよ」 ということ。 これを読んでいる人に「これから大企業を受けたいと思ってるんです!」という明るい未来の持ち主がいるとは思っていないが(いたら失敬!)。 大企業に入ってキミ(誰だかわからないが)を待ち受けているのは、明るい未来でも理想のオフィスライフでも人生のパートナーでもなく、洗濯物生乾き臭をプンプンさせているオタクたちだけだからね。
でもその洗濯物生乾き臭の発生源らしき男性は 「GWはカミさんの実家に行った位で終わっちゃいましたよ〜」 とか言っていた。 大企業なのでいちおう、人生のパートナーも見つかるみたいだ。 どこにでも希望はある。がんばれ就職。
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2005年05月09日(月)
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