股・戯れ言
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高血中アルコール濃度圧ガール 後編

私は奥田英朗の著作は好んでおるし(「邪魔」は最高傑作!)、当然神経科医伊良部シリーズも腹を抱えるほど笑ったのだが、
「イン・ザ・プール」映画化はいただけねぇ。
伊良部の話し方は確かに松尾スズキっぽいなあと思うが、マユミちゃんは、私がちょっと前までクリスタル・ケイだと思い込んでいたモデルの人だった。
なんか違うなぁ。
いや、松尾スズキも含めて違うんだよ。
そんなスタイリッシュなもんは求めちゃいないんだよ。
だって、患者がオダギリジョーに田辺誠一に市川実和子ってなんだよソレ。
モデルとか集めればいいってもんじゃないと思うんだが。
特に田辺誠一は私認定「カズシゲに並ぶ、平成の一本調子役者」だっつうのに。
奥田英朗ってそんなにモデル雑誌な感じの文章じゃないのが好きなんだけどな。
(ああ、でも元コピーライターだったか、しまった)

まあ、「空中ブランコ」ドラマ化のほうが遥かにいただけないんだけど。
伊良部が阿部ちゃんって、もう奥田英朗原作を名乗らないで欲しい。
私は阿部ちゃんの顔は大好きだが、好きな作品の世界を侵害するのはやめてくれ。
だって阿部ちゃんって(否定したかないけど)、コミカルな役をやろうとしたら全部トリックと同じ演技になっちゃう人じゃないか。


そんな感じで沖縄の旅最終回

4/2
本来は二泊三日の予定だったので、この日まで泊っていたホテルとはおさらば。そのまま延泊してもよかったんだが。
窓から見える「前川ファミリー芸能館」という建物が気になってもいたんだが。
前川ファミリーというのは、看板に志村けんのへんなおじさんのような絵が書いてあるのでてっきり「ものまねパブ」だと思い込んでいたのだけど、実は民謡バンドなのね。しらなんだ。
そしてその看板の写真を撮り忘れたのは今でも軽く後悔。

土曜日の沖縄はあいにくの雨。
台風?梅雨?というくらいの大雨だった。
作業も既に終わっていたので、この日は完全自由だったのだ。前日も飲んではいたが、観覧車のママの勧めで「ウコン入り泡盛」を飲んだので二日酔いはしていなかった。
ただ、朝方まで飲んでいたので眠い。
実は前の日の晩に、「明日はどこに行こうか?」といろいろ考えは巡らしていたのだ。
沖縄出身、っても石垣島出身のみやらさんに電話していろいろと相談もしてみたのだけれど「あたし本島ほとんど行ったことないからわからん」と言われる。
もっともな意見だぜ。
でも、「マーならば、コザに行ったら楽しめるんじゃない?」とアドバイスされ、コザとは何処ぞや?と頭を捻らせたのだが、どうも米軍基地の近くにあってほとんど外国みたいなところらしい。
ってことは古着もあるのかしら?レコードもあるのかしら?
などと思うと胸が弾む。
それは是非とも行ってみたいナー!
バスで行けるのかなー!?(車運転できないから)

と思っていたが、現実は厳しいものであった。
観覧車のママに「明日、コザに行ってみようと思うんだよね」と話したら
猛反対を受ける。
理由は

「4月1日に、イラクからの帰還兵が大量に沖縄に戻ってきたから」

・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・

即決でやめました。
怖いってば。
レイプ必至だってば。

とくにオンナがひとりってのがよくなかったらしい。
この時が一番「ああ、私は沖縄に来てるんだなぁ」と実感した瞬間だったかもしれません。
奇しくもこの話をした夜は4月1日の金曜日。
沖縄中の警察がコザに大集結していたらしい。

というわけで、さて、何処に行こうかと思って、この日もみやらさんに電話。
コザに鬼畜米兵がウヨウヨいるらしいから行くの反対された、と告げると
ゲラゲラ笑って「それはやめたほうがいいね!」と言われた。
「しかも大雨降ってるんだったらどこ行っても一緒だから、首里城でも行ってくればー?ただ赤い門が建ってるだけだけど」
と言うので、ああ、首里城か、それもいいかもしれない、と思う。

地方出張行って名物的な建物を見るなんて初めてなんじゃないか。
観光するぜ、俺!

というわけで首里城に向かうことにしたが、その前に「地方のレコ屋に行きてぇ」と思い、ウロウロ。
でもどこに何があるのかリサーチしてなかったので(というかコザでレコードが欲しかったのよ!)、結局行ったのはタワレコ那覇店であった。
タワレコは全国にあって便利だなぁ。山形にはないけど。

まあ、私の好きなジャンルはやっぱりギターポップっつうかパワーポップっつうかアメリカの片田舎でギターギャンギャン鳴らしているようなインディーギターロックですから、何も沖縄で購入することはないのだ。西新宿でも行っとけという話だ。
そんな心を読まれたかどうかは知らないが、タワレコ那覇店はギターロック物がほとんどありませんでした。
よんぼり。

ってことはない。
別にギターロックなんか聴かなくていいのである。
その代わり、店頭でリトル・テンポの新譜が置いてあるのを発見し、試聴してギャー素晴らしすぎと心の中で騒いで購入。
「これを聴くと南国に誘われます!(すでに南国ですケド)」
といったポップ文章も購入の決め手であった。
あとエブリシングバットザガールのリミックス盤が出てたので買いましたが、それよりもカーティスメンフィールドのリミックス盤があったのに狂乱しました。
私はハウスも好きな女なんだ。

腹が減ったので県庁前の喫茶店へ。
前日、お客さんと泡盛を買いに行った際に、購入した酒屋の横にあった喫茶店が雰囲気よさそうだったので気になっていたのです。
たしか「チャイハネ」という喫茶店だったんだが、首都圏でよく見かけるアジアン雑貨の店「チャイハネ」とは無関係のようだ。
一軒家を改装したシンプルな内装にけだるいジャズが流れていて大変落ち着く店だった。
チャコライスという店独自のタコライスがおいしい。
ここでもみうらじゅんの本を読んでひとりで悶絶してたけども。

まあ、喫茶店出たあたりから首里城どうでもいいわとは思ってたんですがね。
ゆいレールの駅までは行ったのだ。
せっかくだし行っておくかとは思ったのだ。
しかし、信号待ちをしている時に暴風が吹き、傘がオチョコどころじゃなく、元の形がわからなくなるほど変形してずぶ濡れになった時に頭の中にドアーズの曲が流れ出したのでした。
ディス・イズ・ジエ〜〜〜ンド
ああ、これで終わりさコンチクショーめ。
ジム・モリソンもあまりの無様なサマに、笑いを抑えながら歌ってやがる。
いや、ジ・エンドまで行かなくても新しいホテルにチェックインしようと決める。

新しい傘を購入し、国際通りを歩いて再び牧志へ。
そしてある店の前を通りすがった時に、「あ!」と気づく。
前日の夜も観覧車に行くためにその店の前を通り過ぎたのだが、ガラス張りの店の中に飾ってある、レインボーな色合いのチェ・ゲバラがプリントされた長袖Tシャツが目を引いたのでした。
ああ、あれいーなー、お店開いてる時に行ってみようと思ったことを思い出した。(酒飲み過ぎて忘れてた)

店に入って近くで見てみると、実はそのレインボーカラーのゲバラがプリントではなく、フェルトで貼ってある事に気づいて驚いた。
完全ハンドメイドのものだったんだな。
当然一点物とみた。
気になってたんですよと告げ、試着させていただいたら、アラ、まぁ、ジーンズによく合う。上から作業着はおってもちょうどいい。
無論購入しました。
これからは右手にドライバー、左手にケーブル、胸にはレインボーなゲバラ、という作業員になります。どんな誓いだか。
購入時にレジ横を見たら、同じようにフェルトを貼って描かれた野口英世の長袖Tシャツが。ものすごく惹かれました。独創的なデザインだなぁ。
なんでも、そこの店は「made in okinawa」という店で、沖縄の若手クリエイターの商品を売っているセレクトショップなんだそうだ。
私が買った長袖Tシャツを作ったフェルト職人の方は沖縄で保父さんをやってる人らしい。

ここ最近、名古屋に行こうが山形行こうが秋田行こうが古着を買い漁っていた私ではあるが、沖縄では古着を買わなかったのはこのTシャツがあまりによかったためである。
野口英世シャツも欲しかったなぁ。
新作見てみたいなぁ。


ぼちぼちホテルにチェックイン。
仕事のメールを出すなどやってたら、テレビで新日の試合がやってたので
見ているうちに寝ていた。
要するに、首里城は行かなかったってこと。

でもせっかく沖縄に来たのだからどこかに行かなけりゃ。
というか、沖縄に3日もいるのに海見てないジャン。
靴下が濡れていたので、新しい靴下を買いに行くがてら海を見にでかける。
先ほど購入したリトルテンポを聴きながら歩いて海を目指した。

沖縄ってどこでも海に近いんだね。
リトルテンポのスティールドラム入りのゆるやかな曲が耳に心地いい。
海を見るには絶好のBGMである。気持ちが高揚する。
海風が強くなって、タバコの火を点けるのに何度も失敗した。
でも海が近づいてるのだ。タバコなんてどうでもよくなる。
リトルテンポを聴いてるのに、人通りが少なくなったのをいいことに鼻歌なんぞを歌っていた。
待ってろよ、なめらかな白い砂。
しなやかな南風、私の(大して長くない)髪を舞い上がらせとけ。


10分ほど歩いて海に辿り着いた。


港でした。


うわん、砂浜じゃないのかよ!
フェリーとか沢山泊まってるじゃねえかよ!
バスクリン色の海はどこなんだよ!
これじゃ「沖縄の海を見た」とは言えまい。(嘘ではないんだけど)

と、悪態をつきながらも防波堤に座ってしばらく海を鑑賞。
以前、山形の遊佐に行った時の日記
「私は海が怖いのである」
と書いたが、沖縄の海はそんなに怖くなかった。
なんでだろう。
東北だと、三上寛が歌うような情念を感じるからだろうか。
それもたまらない東北の魅力ではあるのだけれど。


そんなこんなのうちにすっかり夜が訪れ、昨晩仲良くなった社長さんと飲みに行く。
沖縄最後の夜の始まりである。
っても沖縄最後の夜のスタートは日本酒から始まったのだけれど。
くどき上手の辛口純米吟醸。
こんなところで庄内の酒。
社長さんはホントに酒の詳しい人でした。
酒の詳しい人と仲良くなれるのはうれしいなー泡盛の話もさることながら焼酎の話も興味深かった。もっといろんな酒を知りたいと思うことしきり。
あと、昨晩、なんであんなに英語で歌うのが上手かったんだろうとと思ってたら向こうで10年くらい暮らしていたそうな。納得。

その後「うりずん」という店へ。
昔ながらの家、という外見が情緒ある店だった。
ここでは泡盛は泡盛でも、花酒と呼ばれる泡盛を飲ませていただいた。
亀壷から移されたのは「どなん」という古酒。
飲んでみた。

口の中が灼熱の熱帯のようだ!!!

口、食道、胃、とどなんが駆け抜けたところがジリジリと焼けつく。
アルコール度数は60度らしい。そら焼けつくわ。
どっしりしっかりと、体中に「どなんアピール」とでも言おうか、存在感を刻印されていったようだ。
ダイナミック!マッチョ!
前々日に飲んだ「かねやま」が老練の職人だとしたら、「どなん」は(これも古酒なんだけど)若い、生命力に満ちた怪男児のようであった。
豪傑酒と呼んでしまいたい。
K1でいうとマーク・ハントみたいだった。ってどんな喩えだ。

うりずんはまた行ってみたい店でした。
泡盛の種類がハンパなかったし。

ほどよく酔っ払ったところで「観覧車」へ。
沖縄最後の夜だったからどうしても行きたかったのです。
この日は大盛況。ママの同級生が沢山来ていたらしい。
東京から来たという若い男子がいたんだが、
「急に思い立って、金曜の夜に正規料金で沖縄きちゃいましたよぉーー!!!」
とマンヨッパで言っていた。
自腹で7万オーバーかよ!
私も正規料金には変わりないが、経費だからな!
しかし、思い立って急に沖縄に行ってしまうという行動にはなんだか妬けてしまった。
私も急に思い立って東北とかやってたけど、まだまだだと思い知らされた。
旅のためなら自腹で7万も厭わない、というくらいの覚悟がなけりゃ旅人は名乗れねえよ。
そんな軽い絶望感もあってか、楽しい酒の場でありながらもいつもより酔っ払った。
店のBGMがキリンジになり(キリンジ好きの人がいた)、エイリアンなどを歌ったり、CKBをかけて貰ってハンサムなプレイボーイ歌ったりで楽しかった。
モチのロンで泥酔。

4/3

二日酔いでやっぱりこの日も沖縄そばしか食べられなかった。
沖縄は日曜日にようやく天気がよくなっていた。
遅いよ!
天気のよい海を見に行って、沖縄の旅を反芻したり。
吐き気は止まらなかったけど。センチメンタル泥酔者。

そのまま空港へ。
飛行機トラブルが起こって出発が遅れたりした。
沖縄から帰りたくないなーと思った気持ちがちょっぴり伝わったのかもしれない。

東京に戻ったらプライドを見に行こうと思ってたのだけれど、
その日はそのまま帰宅した。
たぶん沖縄があまりに楽しすぎたからだ。


観覧車は本当に本当にいい店でした。
3日間通い詰めてよかったー
ママさん、本当にありがとー。
そして社長さんもありがとー。
沖縄で出会ったすべての人にありがとー。
忘れちゃいかんが、お客さんもありがとー。



帰って寝ようとしたら目に違和感を感じたのだが、
翌日起きたらくっきりとものもらいになってました。
私は疲れるとものもらいになるのである。

間違いなく遊び疲れなんだけど。


また近いうちに2000マイル飛び越えてみるとしよう
自腹で正規料金はまだまだできそうにないが。
でも沖縄は「ウジウジしてねえで飛び込んじまえよ!」ということを教えてくれた土地かもしれない。
じゃあ今度は7マンを自腹で越えてみようかしら。
まあ、上司が「沖縄出張、無理矢理作っちまえばいいんだよ!」とか言ってたけど。
出張に関してはいい会社なんだよな。
2005年04月14日(木)

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