ある大学院生の日記

2002年02月13日(水) ディスカッション,とかわざわざ言うなって.

きのう発見しておいた Lee et.al [1980] は手に負えそうにないということがはっきりしたので,Maddala, G.S. [1986] "Limited-dependent and qualitative variables in econometrics" Cambridge University Press の7章を読んでみた.尤度に慣れていないためか,よくわからんところが多発.ひええ.やろうとしていることは,Tobit typeの同時方程式か,あるいはそれの2段階推定だと思うんだけど,とりあえず尤度の作り方が….Amemiya [1974b] をみてもよくわからん.うぅむ.


それと,以前から読むはずだった Garcia, Rene, Annamaria Lusardi, Serena Ng [1997] "Excess sensitivity and asymmetries in consumption: An empirical investigation" Journal of Money, Credit, and Banking, 29(2), 154-176 を眺めた.流動性制約にある家計とない家計では,ラグランジュ乗数が入るかどうかでオイラー方程式が異なるから,switching regressionを使ってそれを分けて推定しちゃいましょう,という話がひとつ.これは僕がやろうとしていることに近いんだけど,こうすると,ラグランジュ乗数以外の係数も違っていいよ,ということになってしまうので,なんとなく都合が悪い気がする.ま,対数尤度を書き下して推定するんだから,そこで制約をかけてしまえばいいんだけど.この論文では,流動性制約があるかないかについての誤差とオイラー方程式の予測誤差には相関が存在しないはずなので,外生的スイッチング回帰のほうがよい,としている.そんなもんかなあ.それから,この論文の面白いところは,流動性制約が非対称的に働き,所得が下がると思われるために消費を減らす分には流動性制約は関係なくなるといったような条件から,純粋な恒常所得仮説(Hallのランダムウォーク)を成り立たせなくしている原因を特定しようとしている点にある.結果,流動性制約と,時間不可分な効用関数がその原因ではなかろうか,と述べている.棄却した仮説は,近視眼的行動やrule-of-thumb,非対称な効用関数である.うぅむ.こりゃおもろい.


ディナーのときに,同級生と医療保険改革についてディスカッションした.と書くとかなりかっこいいように思える.うんうん.学食で話をしながら夕食にした,というだけなんだけど.3割自己負担で医療費は削減できるか?というのはかなりアヤシイのではないか,と思われた.自己負担が増えると,おそらくは,(1)軽い病気なら病院に行かない人が増える,(2)自己負担を嫌って予防行動が起こる,という効果が望めるのかもしれないが,だいたい,軽い病気による医療費なんてたいしたことがないだろうから,医療費自体が減る効果は少ないんじゃないだろうか?予防行動については効果があるかもしれないが.どっちにしても,自己負担がどれくらいになるのか,病院にいくまで分からん,というのは困る,というのには激しく同意した.初診料がよくわからんけど高い,というのにも賛成.そういう価格ってどこかで公表されてるのかしらん.


そーゆーわけで,同級生の投稿した論文が,Economics Lettersに掲載が決まったらしい.ぱちぱちぱち.ぼくもガンバラナクッチャ.


 << past  Index  will >>


べべべ [MAIL] [HOMEPAGE]