日々雑感
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2004年11月18日(木) |
『デルスウ・ウザーラ』 |
終日、雨。雨もだいぶ冷たくなってきた。
『デルスウ・ウザーラ 沿海州探検行』アルセーニエフ(平凡社東洋文庫)をゆっくり読んでいる。1907年、ロシアの若き軍人アルセーニエフは、ゴリド族の老猟師デルスウ・ウザーラを道案内に、極東ロシア・ウスリー地区の調査旅行に出発する。奥深い森林、大洪水、動物たち、鳥たち、その中に点在する中国人やロシア正教の旧信徒の住まい、圧倒的な自然と人間の痕跡、それらの描写が何といってもいい。それに、一行を導き、ときに助ける、デルスウという人物像。
あるとき、夜明け前の空に彗星が現れた。<尾のある星>を見て、少し前に遭遇したひどい洪水はあの彗星のおかげだとか、彗星の向うには戦争がおこるのだとか、一行が口々に言い合う中、意見を求められたデルスウはつまらなさそうに答える。「あれはいつも空をいく、人のじゃまはしない」。この本、長谷川四郎の訳もすばらしい。
夜、仕事帰りのおじさんたちに混じって、居酒屋にて飲む。若い店員さんに「ボジョレーが入ってますよ」と笑顔で言われたが、はじめから日本酒。勧めがいのない客で、少しだけ申し訳ない気分になる。
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