日々雑感
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2004年06月10日(木) "Das Wunder von Bern"

映画"Das Wunder von Bern"観る。訳して「ベルンの奇跡」。1954年にスイスで開催されたサッカーワールドカップにて、西ドイツ代表が当時無敵であったハンガリーを相手に、奇跡の逆転優勝を遂げるまでの道程と、ソ連に12年間抑留されていた父親が帰ってきたある家庭の物語とが並行して語られる。経済復興を果たす前の、まだ敗戦の空気が生々しいドイツ。色あせた街並の中、手作りのサッカーボールを蹴って遊ぶのが子どもたちの何よりもの楽しみだ。

うまくいかないことばかりの中で、サッカーがどれほどの光を与えてくれたことか。ドイツチームが勝ち進むに従って、街の人びとが次第に興奮してゆく様がよい。思い詰めて教会へ話を聞いてもらいに行った父親に、司祭が「ところで準決勝のオーストリア戦は」などと話し始め「すみません、サッカーの話をしにきたんではないのですが」と言われるくだり、よくわかる。

決勝戦の日、街からは人が消える。会社も店も開店休業状態となり、教会では修道士たちがラジオにかじりつく。少年マチアスと、抑留時の体験から自分でも自分をコントロールできない父親との関係も、この決勝戦を境として、ゆっくりと変わってゆく。

サッカーの幸福がうまく描かれた映画と思う。それはともかく、こんな映画を観たら、改めて代表チームを応援しようという気にもなるもの。まるで関係ない自分でさえ、決勝戦前、スタジアムに国歌が流れる場面では胸が熱くなったくらいだ。今週末からのユーロ開催前に代表応援の気分を高めるための再上映としたら(昨秋に公開された映画なのだ)、その目論見は大当たりである。ただし、祝日の今日、映画館の中には自分も含めてお客は三人。大丈夫か、2004年度版ドイツ代表。


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