日々雑感
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| 2002年03月19日(火) |
「アンフォゲッタブル」 |
演劇集団キャラメルボックス「アンフォゲッタブル」」を観に行く。新宿シアターアプル。
キャラメルボックスは、あえて言えば、ディズニーランドに似ているかもしれない。「ディズニーランド」という世界があって、ゲートをくぐった瞬間から全部忘れてその世界に没入でき、ミッキーマウスの耳などつけた人がうろうろしていても全然違和感がないように、キャラメルボックスにも、劇そのものだけでなく、劇団の雰囲気、受付から前説にいたるまで「ああ、これだ」という空気がある(そして、演出する側は真剣に、徹底してその世界を演出している)。今回は久々だったけれど、その空気は変わってなくてなつかしかった。平日だが客席は満員。当日券のお客さんも通路までぎっしり入っている。
「アンフォゲッタブル」はタイムトラベルものである。「スキップ」という言葉が出てくることもあって、北村薫の『スキップ』を連想してしまったけれど、もちろん「スキップ」の仕方や作品の色合いは違う。
ほんとうは言いたいのに、照れくさくて口に出せないこと。そんなの言葉にするのは恥ずかしいんじゃないかと感じていること。けれども、とてもまっとうで、きっと誰もが思っていること。そういったものがストレートに伝わってくる舞台だったと思う。そして、それを観ているこっち側は、何をためらっているのかとポンと背中を押されるような気がするのだ。
劇が終わって一瞬暗転し、灯りがつくと役者さんたちがずらりと並んでいる。さっきまで舞台の上で演じていた人たちが「その人」に戻ってこちらを見つめている。あの瞬間が好きだ。
いっしょに行った友人と「爽快だったね」と言いつつ帰る。喫茶店に寄り、コーヒーとクロワッサンサンド。ピーナッツクリームの「つぶつぶ」というのを頼んだら、「つぶつぶはあんまり甘くないですよ」と言ってチョコレートクリームをかけてくれた。おいしくて身と心に沁みる。
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