日々雑感
DiaryINDEXbacknext


2002年03月14日(木) 日向夏

バイト先に届け物。日向夏を一個もらう。

バイト先には、両親が宮崎出身の友人がいる。いろんなお菓子や、カリカリのじゃこ、それにこの日向夏など、宮崎のものをいろいろと持ってきてくれるのだが、どれも皆おいしい。とても大らかな味がする。日向夏はオレンジくらいの大きさで、蛍光色のような鮮やかな黄色をしている。宮崎には一度行ったことがあるが、あの強い陽射しと濃い緑を思い出す。

帰りは少し歩く。日暮里の駅の裏から谷中霊園へと抜ける道を行く。霊園いっぱいの大きな桜の木は、つぼみがだいぶ膨らんで、遠くからでもはっきりと見える。霊園の中の小さな公園、何個か置かれているベンチは満員。昼寝する人、新聞を読む人、ぼうっとする人、そして尺八を練習する人。尺八の少しかすれた音があたりに響く。五重塔の跡地などを眺めつつ、さらに根津のほうへ歩く。古い銭湯を改築したギャラリーや、お煎餅屋、瓶ビールがずらりと並んだ酒屋(なぜかみんなキリン)、このあたりは良い感じで古びたお店が多い。

坂をだらだらと下っていくと、黄色い看板や貼り紙、のぼりなどがたくさん見えてくる。言問通り沿いに大きなマンションが建つということで、地元の住民が反対運動をしているのだ。シートの隙間からほとんど完成しているらしいマンションが見える。何棟もの高層マンションにぐるりと囲まれるようにして、真ん中には広場が出来ている。舞浜のイクスピアリや恵比寿ガーデンプレイスなど、ああいった「作られた街」という雰囲気。

反対運動をするのもわかる。日当たりうんぬんという以前に、その町から完全に浮いているのだ。その町やそこに積もっている時間をまるで無視して、自分たちだけの世界を作り、完結している。そんな建物が側にあったとして、自分の町を愛していたら、なおさらつらいに違いない。それとも、人が入って生活するようになったら、また変わるのだろうか。

夜、日向夏を食べる。苦くておいしい。


ブリラン |MAILHomePage