日々雑感
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| 2002年02月28日(木) |
怖いものはたくさんあった |
友人といっしょに髪を切りに行く。もう何年も通っているところなので、店内に入ったとたんに「お久しぶりですー」と声がかかる。
美容院でいちばん好きなのは洗髪だ。このお店では、髪を洗って、ついでに頭の指圧もしてくれる。そんなに長い時間ではないけれど、このためだけに美容院に来てもいいと思う。
子どもの頃は髪を洗うのが怖かった。まだほんとに小さな頃、いっしょにお風呂に入っている母親がいつ「髪洗うよ」と言い出すかと、いつもビクビクしていた。さ、洗うよと言って抱きかかえられると、もう頭にお湯がかけられただけで怖くて、泣き叫んでいたような気がする。それだけに、はじめて自分ひとりで髪を洗えたときのことはよく覚えている。
怖いものはたくさんあった。テレビのチャンネルをまわすのが怖かった(当時はリモコンではなく、ガチャガチャまわすタイプのやつだった)。窓の隙間から聞こえる風の音が怖かった。仏壇のある部屋が怖かった。一人でトイレに行くのが怖かった。橋を車でわたっていると、海中からキングコングが出てきて橋を折ってしまうのではないかと怖かった(テレビで映画を観たのだろう)。下りのエスカレーターに足を踏み出すのが怖かった。「なまはげ」は死ぬほど怖かった。近所に沼地があって、「底なし沼」という響きに怯えた。臆病な子どもだったのだろうか。今思えば何でそんなものがというようなことでも、真剣に怖かった。
髪を切ってもらったあとは、いつものように友人と飲み屋へ。友人はバイト先からの預かり物を届けてくれる。仕事といっしょにお菓子がたくさん入った袋もある。えびせんやクッキー、いちご味のトッポなど、どっさり入っていてうれしい。
ひとしきり食べて、飲んで、しゃべったあと、地下鉄に乗って帰る。一駅前で降りて歩く。夜もだいぶ暖かくなった。春の夜歩きは楽しい。アルコールも入って、いい気分で歩く。空気にいろんな匂いが混じっている。
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