過失軽薄日記
一覧

管理人は現在杭州にいますが、どこにいようとうすらオタク気味です。 2008年頭に帰国予定。大陸に至った経緯は2006年3月22日あたりをご覧ください。

文中でリンクされている箇所は別窓で開きます。

---------------------------------------------------------------
2002年10月07日(月)/命が惜しければ我慢しろ。/指輪物語(映画)

指輪DVDを入手してから、一日一度は指輪の映像を見ているような気がします。おお、なんて幸せなんだろう。私は裂け谷会議の模様などが好きなので、ちょっと時間の空いたとき、そのあたりだけ見ようかなどと思ってひとたび見てしまうと、うっかりそのまま最後まで見てしまうことが多いので危険です。わしを誘惑するな! いや誰も誘惑などしていない。

DVD化されるにあたって、字幕のまずい部分が改められるということで、いかなる改正が行われたのか、まずはとっくりと吟味するというのも今回の楽しみの一つだったわけですが、まあ…何というか…やっぱりお勧めは吹き替え版だというのは変わりませんなあ…。いや、致命的だといわれていた部分はひととおり直ってはいたので、大進歩であることは認めますが…。まあ、どうせ何度も見れば何処で何を言っているのかわかるようになるので、字幕も要らなくなるんですが。要らなくなるほど見るな。

さて、この映画を、字幕が要らなくなるぐらいに見れば見るほど、レゴラス氏の情緒面において、いろいろな問題が発見できるような気がしてなりません。原作のレゴラスも、わりと情緒が不思議な発達をしているように思える愉快なふるまいが散見されるのですが、それでも、それなりに怒ったり怖がったり悲しんだりはしていました。しかし、映画の彼は殊に、いついかなる時にも内心はどうあれ異様なまでに冷静なので、見ているほうが心配になるくらいです。
例えば、マザルブルの間で、従兄弟の死に大打撃を受け、墓前にて絶賛号泣中のギムリを目にしておきながら、「イヤな予感がするからとっとと先に進もう」みたいな事を言ってみたり、(この進言を何気に黙殺するアラゴルンがこれまたナイス)ボロミアが壮烈な最期を遂げ、それを埋葬した後、他の人がまだ悲しみもさめやらぬ風情なのに、彼だけはあっさり頭を切り替えたらしく、フロド達を追いかける気満々であったり。確かに状況判断としては至極適切だが、その場の空気には全く不適切ではないのだろうかといいたくてしょうがないです。実際彼の言に従って行動したら、あれがああならずにこうなったりしたかもしれないので、安全のためには多少の情緒面の欠如には目をつぶった方が得策なのかもしれませんが。しかし。
このような具合に、随所で冷徹コマンダーぶりが空恐ろしいほど冴えわたっているので、見ているうちに自然と笑顔が浮かぶのをどうすることもできません。かように非常時においては、常軌を逸するほどに頼もしい彼の性格形成に寄与するところのものが何であったかと問うに、即ち彼がエルフである故だと考えるのは、エルフの尊厳を損なってしまいそうな感じがするので(酷)、レゴラス個人の突き抜け具合であるとしたいところです。さもないと、エルフ族が腕利きサイレントアサシンの集団ということになってしまう。いや、映画であろうが原作であろうが、どちらにせよ面白おかしいので私は好きですがレゴラス。

---------------------------------------------------------------

ヤケパチ |電信家頁

My追加