【七、射覆】 射覆が不得手な晴明は、昔、師の賀茂忠行が射覆をした際の 占文で一夜漬けをした後、内裏で向かう。 屋敷を出るところで、ふと、比丘尼の父の名前が秦道満であることを思い出す。
内裏に到着すると、門のところで博雅が待っていた。 中に入ろうとすると、保憲に何故時刻どおりに来たのか問われる。 占時が変わっても箱の中身を射てねばならないことに変わりはなく、 これでは清涼殿まで辿り着けないと思った晴明は二人に頼み事をする。
それは、未だ完成していないこの都を二人の手で完成させてほしいということだった。 それを約束してくれれば、自分は射覆を切り抜けようと言い、道満との射覆に臨む。
【八、非時香菓】 予定通りに、帝や内裏の者たちが見ている中で、射覆が行われる。 先に済んだのは道満で、箱の中には黄金色に輝く橘が十五個あると言い、 晴明は、箱の内は外方内円で円の上には一・五・九の方錐に積み上げられた 黄金に輝く子(シ:種のある果物)であると占った。
しかし、斎敏が子(シ)を子(ね:ねずみ)と読み間違えた為、 箱の中を開けるとネズミが飛び出してしまい、晴明は負けを認める。 晴明は道満に戯れを止めるように言うと、ネズミは消え、 道満の顔から付けていた面が落ち、道満が白比丘尼であることが周知のものとなる。
道満が杖をつくとそこから水が溢れ出して広がり、周囲がパニックに陥る。 混乱の最中、晴明は道満に内裏まで来た目的を問うが、 道満は晴明を迎えに来たと言い、黄金色に輝く常世の香菓を差し出す。
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