日記帳

2007年11月07日(水) 金魚のハナちゃん日記 赤班病疑惑

私の名前はハナ。去年の9月に、大混雑の金魚すくいのタライから、ここの家に来ることになったの。一緒に来た仲間は、早々にみんなお星様になってしまったわ。私だけサバイバルしたわけ。もう1年以上経つのね。

ここの家にはうかちゃんていう子どもと、おじさんとおばさんがいるの。おじさんは毎朝えさをくれるから大好き。おばさんは私よりめだかの方が好きみたい。ナニさ。あんなちっこい黄色いの。

こないだまで2匹のめだかと同居してたんだけど、おばさんが「やっぱり別にしよう」とか突然言い出して、めだかを掬いあげていったの。今は気楽な1人暮らしよ。水槽が広くなったわー。あのちっこい黄色いのが小賢しくて、そのくせすばしっこくてさー。

ずっと元気だった私なんだけど、昨日からなんだか息苦しいの。ハナアゲってやつ?水面にハナを出さないと苦しくていけないわ。ハナったって別に私の名前と掛けたわけじゃないのよ。そんなオヤジギャグかましてる余裕はないわ。

左エラの上のところが内出血したみたいで、おばさんが「赤い斑点…。赤班病?わーどうしよう」って動揺してる。動揺してないでなんとかしてよ。苦しいのは私よ。

いつも掃除してくれるおじさんが見当たらなくて、心細いなあって思ってたら、おばさんが「フィルター換えてみよう」って濾過器を掃除してくれたの。なんだ。やればできるんじゃない。じゃあいつものあの態度はアレね、怠慢ってやつね。

それから、めだかの水槽につっこんでた変なしゅぽしゅぽ言うやつを私の水槽にも入れてきて、なんかしゅぽしゅぽやってたわ。新しい水もちょっと入れてくれて、息が楽になったみたい。もうすっかり元気よ。

なのにひどいの、おばさんがおじさんに囁いているのが聴こえたのよ。「えさしばらく控えてみて」ですって!許せないわ。こんなにお腹が空いているのに。お腹が減っているのよ!エサをよこしなさい!

おじさんにアピールよ。ひらひら〜、ひらひら〜。ほ〜ら、私こんなに元気よ〜。エサをよこせ〜。ひらひら〜。

…。おじさん、おばさんがよっぽど怖いのかしら。私のひらひらアピールが効かないなんて。ああいうの、尻に敷かれるっていうのよ。ふん。使えないわね。

なーんて、朝はすっごく元気だったのに、なんだかまたしんどくなってきたの。浮いてるのもかったるい。お腹を小石につけて休もうっと。

ん?またおばさんが覗き込んでるわ。少しは私のことが気になるのかしら。ちょっと動いてみせようかしら。ひら。ひら。あ、喜んでる。単純ね。

でも私忘れないわ。こないだ水槽の底の小石をいつも通りにひょいひょいくわえてたら、口の中で石の角度が変わっちゃって口から出なくなっちゃったのよ。そしたらおばさん「ちょっとちょっと、ハナちゃん見て、あわててる〜」って、手を叩いて笑ってたのよ。心配したらどうなのよ。あの屈辱、絶対許さないんだから。

「早く元気になれ〜」って、口ばっかりなのよねこのおばさん。早くエサくれるおじさん帰ってこないかなー。


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