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■ 休み時間。
―休み時間―
「おい」 「おいって呼ばないでよ〜!今日そっちのクラスも補習ある?」 「あるある。だから待ってろよ」 「え〜?」 もうこの学年の名物カップルのふたり。この二人に限っては、必要以上に体を寄せ合って話す姿を見ても、別段見苦しくも嫌味でもない。 頬を包んで額を寄せたり、腰に手を回したりする仕草もスッキリしていて。なんだか和む。 「あ〜、またラビュラビュしてる〜」 「うん。ホホエマシイよね」 友達の課題を必死に写すあたしは、二人の姿を見ていないにしても、話し声と気配でわかっている。 彼女達が入り口の扉の横で話すのはそう珍しくない、というか普段の事だからだ。 「なんか、あの二人には別れてほしくないんだよね〜」 「・・・何で?」 「うん、あの二人が一緒にいないのが考えられないってーのもあるけど。あの雰囲気、好きだからさ〜」 「うん、そうだね」 彼女等からはほわほわしてる、暖かい雰囲気を感じる。 「見てるだけでこっちも嬉しくなるってかさ〜」 「うん。わかるけど」 「ん?」 「手ェ動かしてね。チャイム鳴るよ」 うわっ!と一声鳴くと、さかさかペンを走らせる。 うん。けどホント羨ましいし。だってあたしは人前であんな風にいちゃつけないから。 「あ〜・・・先生に会いたい〜・・・」 ごすっと頭上に痛みが走った。友達が英和辞典の角で叩いたんだ。また手を止めていたんだろうか、あたしは。 けどきっと、あたしは丁度後ろ向きだからわからないけど、ダイレクトに二人が視界に入る彼女は、オレよりもっとそう思ってる筈だ。 だって彼女の相手は後輩だし。 「あ、キスした」 「え?え?マジで?!」 好奇心のカタマリと言われる彼女も、流石に振り向くのは彼女等に失礼だろうと思って堪えているのだが、やはり気になるみたいで。 自分がしているわけでもないのに頬を赤らめ、身を乗り出して聞いてくる様は苦笑せざるをえない。 「ほっぺにだけどね〜」 「へー」 何に対しての「へー」なのか。 がらり、と扉が開く音がした。彼女の連れ合いが出ていくのがわかる。 「も〜、こっちばっか見ないでよ〜」 さっきまで扉でいちゃついていた彼女はあたしの横の椅子を引いて座る。わくわくした気持ちを隠せないまま、ちらりと彼女の方を見ると。 「気になる〜ぅ?」 にやり、と笑われた。 「そんな事無い無い!」 「ふう〜ん」 「へ〜え」 「うっわ〜!何だよ〜!!」 そう言うと頬だけでなく、耳まで真っ赤にしてガバっと俯いた。ざかざかと物凄いスピードで答えを写す。その文字を見るとあたし以外の誰が解読できるのだろうかと思う程で。 すると扉から再び、 「おい!」 「だから〜!おいって呼ばないでって言ったでしょ〜!」 そう言うと椅子から立ち上がって彼の方へ歩み寄った。彼の手には今日使う英語の問題集があった。 「は〜・・・」 会いたいなぁ〜。ぎゅ〜って、してほしいなぁ〜。 「「ねぇ」」 声が、重複した。 其れは勿論、あたしと友達ので。 「・・・どぞ」 譲ってしまった。 「あたし、次の休み時間下の階行くから」 吃驚。 というか、素直すぎてオドロキ。 けどなんかあの二人にあったかいのをいっぱいオスソワケしてもらったから、あたしも其れを伝えたいっつーのがあって。 やっぱ彼女も同じだったんだと思うと。 「そっか」 嬉しい。 にへら〜と、顔がにやける。照れてる友人が可愛い。 その指がオレの額を小突くと、バサッと問題集を奪い取られた。 「没収」 そこには既に照れていた表情など微塵も無い。 「きゃ〜!なんでなんでなんで〜?!」 「はい。アチラヲ御覧下サイ」 指を指された先には、廊下を歩いてくる先生が見える。 「オーマイガーーーーーッ!!」 頭を抱えて叫ぶあたしの目の前に、これ見よがしと言わんばかりに問題集をチラつかせながら自分の席へ戻って行った。 センセに怒られるのはもう目に見えているけど、 「早く終れ〜授業〜」 ぽこん、と丸められた教科書で叩かれる。 「だあぁぁぁ!センセーそこさっき、もう殴られたのッッ!!」 瞳に涙を湛えながら頭を抑えて勢いよく立ち上がった。 ああ、もう。 早く終ってよ、授業。 頼まれなくてもダッシュで駆けつけるから。 「は〜」 呟きは、教室中に響き渡った。
【END】
***独り言*** はい。またまた半分(いや、殆ど)実録←こ〜ゆ〜のに当てはめるのってどうかと思う・・・。 他にも今日一日ずっと止まらなかった、しゃっくりネタとかあったんですけど(笑)
2002年01月09日(水)
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