TOI,TOI,TOI!
あれは5日前の火曜。 レッスンに行くと、私の顔を見るなりフォ先生は言った。
「ヴィヴァルディの四季のソロ、弾いたことある?」
伸「いーえ。ありません」
フォ「やってみる気ない?『すごく急だけど、学生で誰か弾ける人を紹介して欲しい』と電話があったんだ。」
そのコンサートは29日にあるという。あと10日ちょっとしかない。 なぜこんなに急かというと、そのソリストの人が弾けなくなったらしい。理由は飛行機チケットのトラブル(なんだそりゃ)。 電話をかけてきた人というのはフランクフルトオペラ座のチェリスト。彼自身、そのコンサートで弾く人。
考えてみて返事ちょうだい。嫌なら嫌って言っていいから。と言われ、私が練習してきた曲を30分ぐらいレッスンした後、先生はまた言った。 「図書館いってヴィヴァルディ借りてこよう」
帰って一晩考えて、バンベルクの仕事が二日間入っていることと、彼らは一度弾いたことがある人を探しているんであって10日間の付け焼刃が来るぐらいならプログラムを変えるとかほかの手を打つんじゃないか、と思ったので、 次の日の朝先生にそう言った。そして一緒に仕事をしたことあるバロックのスペシャリスト二人の名前を挙げた。
家に帰るとバンベルク響から電話があり、 「今度のプロジェクトは指揮者病気で延期」 とのこと。
私は考えた。これは運命なのかな? やれってこと?神さま?試練ですか・・・?
というわけで、なんと私はこの話を引き受けたのだこんちきしょー。
すぐにチェリストの人から電話があり、「イヤーうれしいよー。君が引き受けてくれて。ありがとー。練習は前日と当日。場所はアルテンシュタット。車持ってる?」 持ってませーん。 「あ、なら誰かに乗っけてもらえるからだいじょーぶ。フランクフルトから来る人たくさんいるから。あ、ちなみにオケはみんな僕のコレーゲだよー。イヤーほんとによかったー、キミのおかげで助かったよー。じゃー楽しみにしてるよー」
みんなコレーゲ?ってことはオケはみんなオペラの団員=玄人集団。
ひ〜。
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