TOI,TOI,TOI!
ブルックナー、なかなか気に入ってきた。 そしてセカンドは、やはり楽しいし。 金曜日に、スコアを借りCDを聞こうと学校の図書館にいった。 前回の練習の後、ダヴィット※としゃべってたら、 彼もこの曲まだ弾いたことないというから、 「図書館で、もうCDかなんか聞いた?」 と聞くと D「うん。あ、でもこの曲2つの版があるの知ってる?」 だって。よくわかんないのでその点は保留に。
※ダヴィットは優等生タイプで割と二枚目でしかもとても愛想がいい。以前のオケでティル(R・シュトラウス)のコンマスをやったりしていた。今、フランクフルト放送響のAushilfeをやっている。彼はドイツ人だけど、血は韓独ハーフ。韓国語はできない。パイネマン(元天才少女らしい)教授のクラス。
金曜に図書館へ。スコアを探す。 二つ版ある、言ってたな。しかし分からん。うちらが弾くのはどっち? とりあえず適当に借り、その後CDを借りようとしてカウンターに並んでたら、チェロのパヌーも来て「CD借りるの?ブルックナー?」と聞かれ、 N「パヌも弾くの?トップ?」 P「おう。」 N「私もトップなの。ひー」
私の番が来てCDの番号を告げたら「それは今ない」と言われたのに、横からパヌーが「ないの?まじ?」と言ったら、ちょっとして奥から2枚も出てきた。なんなんだまったく・・・。人種差別か?
人種差別かどうかは置いといても、こういうことにはもう慣れてしまって文句を言う気にもなれなくなってしまった。こういうことはたくさんある。いちいち腹を立ててもきりがない。ま、これがドイツ、というかなんというか。
パヌーとなかよく視聴室にいこうとすると、ダヴィットとクリストフ(Vla.)※がやってきたので、つかまえて、 「2つ版があるって言ってたけど、このスコアとCDであってる?私達どっちの版を弾くの?」 と聞くと、クリストフ、 「簡単な方の版。」と言いながらスコアをぱらぱら見て、 「多分これ、違う方だ。」 と言う。
※彼はいつでも学校のロビーで見かけるタイプ(いるでしょ?こういう人)で、ちょっと私が苦手としていた奴だった。愛想がなくて。どっちかっていうと、ガムをかみながら地下鉄に乗ってそうな感じ。 以前のオケで鉛筆を貸したことがあるけど(彼はいっつも鉛筆を持ってこない)、会っても別に挨拶をする仲でもなかったんだけど、ダヴィットがいたから、彼とほぼ初めてまともにしゃべった。彼は見た目に寄らずダヴットよりもだいぶ物知りだった。 なんか、こういう瞬間に思うんだけど、こっちの人って、みんな本当にいろんなことよく知ってる。恥ずかしいと思うことが多々ある。 なぜ、こうなんだろう。やはり特にドイツ系(の作曲家)のことは、非常に細かいことまでみんなよく知っている。 ただ単に、私が今までブルックナーに全く興味がなかっただけにすぎないのか、それとも・・・。
こないだ、ホルンの試験のあとにみんなで飲んでいたとき、フローニに、「ブルックナーの4番知らない」と言ったら、 V「知らないの?日本では知られてないの?」 N「いや、私はブルックナーに興味がなかったから、だから」 V「きっとすごく有名なはずよ!こんなのよ。ラララ〜♪」 N「ありがと。でも知らないみたい」 V「そう。でもすっごいかっこいい曲だから、きっと気に入るわ!」
フローニはこないだも書いたけどヨハネスとカルテットを組んでて、今オケでも彼の隣に座っている。つまり、私の右側に座ってる。彼女が隣にいてすっごく気が楽。 図書館でCDを聞いたら、「これかーーーー!」と、やっと分かった。有名ですね。はい。納得。
ロビーにフローニがいたので、CDで(ギュンター・ヴァント。最高)興奮さめやらぬまま、 N「ねえ!フローニ!!今!聞いたの!CD!この前私『知らない。』言った!」 V「うん。なになに!どうしたっていうのよ?ノブコ。」 N「ワタシ、コレ、シッテルヨ!」 V「ほらぁ!でしょぉ〜?ね〜?」 N「いい曲だ!」 V「でしょ!」 N「トップになっちゃって、ちょっと怖いけど。でもこの曲いいね。」 V「トップに座るってちょっと特別よね。そうね。でも怖がることはないわよ」 N「日本で何回かやったから、それに関してはそんなに不慣れじゃない。問題は言葉!」 V「ああ、そうなの!セカンドバイオリンの?コンマスもやった?」 N「やった」 V「へえ!かっこいい!ま、とにかく、楽しんで!私はあなたを誇りに思うワ(日本語にするとなんだかおおげさ・・・)。」
親愛なるブルックナー愛好家インジャパンの皆様、それ以外の全ての日本人の皆様。ここに私、心からお詫び申し上げます。日本ではブルックナー有名じゃない。などとドイツ人約1名に思わせてしまいましたのはこの私です。しかし誤解は解いておきましたことをご報告申し上げます。これからも出来る限り日本のイメージアップに努めてまいりますことを、ここに誓います。
フローニはホルンのときも隣だったし、すっごい自然体で天然素材でかわいい。 練習中、ことあるごとに 「素敵な曲!」「今、この場所、すごい綺麗じゃなかった?ねえヨハネス(と前の人を弓で突っつく)」「今のファゴット、超クール!じゃない?」「ベースのあの節、なんてかっこいいのぉ!」って感想言ってるの。心から感動している様子で。感受性がすごいのねーなんて隣で思ってる私は、すでにおばさんか? こういう子と一緒に弾いてると、実際楽しくなってくる。 どうせ弾くなら「いい曲!」「この部分すごくいい!」 と思って弾く方がいいに決まってる。 心が綺麗なんだよね。すれてない。彼女のソロの演奏もそれがすごくよく出てるし。 1年前はすっごく緊張して耳までまっかっかにして弾いてたけど、今はもう右手もすっかり先生そっくりになっちゃって、落ち着いてすごいきれいな音出すようになった。そうだ、この前、ベートーベン弾いたとき譜めくりしてくれたんだけど、私が弾き終った瞬間「ブラボ!」って言ってくれたのがすごくうれしかったなぁ。 フローニは私より3つぐらい年下。ブロンドのちょっと天パが入ったショートカットがすごく似合っててかわいい。
ああ長くなった。止まらなくなってきたので、また次回。 明日も朝からオケなので寝ます。
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