水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2004年10月21日(木) |
赤川次郎『透き通った一日』 |
「わかれの船」(光文社文庫)を漸く読み終えました。順番通り読まなかったリ、 (水上勉さんの訃報で『猿籠の牡丹』に飛び)チェーホフの『不幸』にどうしても ついていけなかったり、既読の田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』をスキップしたり、 いまひとつ、達成感に遠いのですが、本屋さんで面白そうな本を見つけたので、 次にいこうかと思います。あ、そうそう、「わかれの船」のあとがきは必読ですよ。 宮本輝が、釈迦にちなむ故事を例に、別れについて淡々と語っています。 「この世は別れに満ちている」── 別れが生きる証しなら、どんな別れでも、 目を逸らさずにきちッと受け止めていきたいです。
たくさんの別れ話を読んだあとに選んだのは「七つの危険な真実」(新潮文庫)。 罪と罰の意味を問うアンソロジーです。どうして、この本を選んだかというと、 オビなんです!オビにキャッチされたのは、多島斗志之「追憶列車」(角川文庫) 浅田次郎「薔薇盗人」(新潮文庫)以来かと思います。 「人は誰でも心の奥にさみしい犯罪者を匿っている──。」すごいコピー!! 参りました!(最後のとこ読めた?匿っている=かくまっている)
七編の最初は赤川次郎『透き通った一日』。おお!書き下ろしです。 文体が軽いので、テクテク読めますが、テーマはものすごーく重いんですよ。 中学生の少女が、まわりの大人たちの別の顔を知ることになるお話。 自分たちが不利にならないように真実を隠そうとする愚かさと、真実を口にする 勇気が事態を好転させる意義がよくわかります。 設定がわたし的には好きになれないんですが、作者の意図と思いがストレート に伝わって、スッキリ。
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