水野の図書室
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2004年09月16日(木) 遠藤周作『アデンまで』

厚生労働省の人口動態によると、2002年に婚姻届を出したカップルのうち、
20組に1組が国際結婚でした──お相手の 国籍は中国・フィリピン・韓国が
多いようですが、一昨年、友人はアメリカ人と結婚しましたし、まわりを見ると、
兄弟姉妹の結婚相手がドイツ人だったり、イギリス人だったり、、あ、タイの
人と結婚した先生も!と、いつのまにか国際結婚はそう珍しくはなくなって
きたような気がします。最近じゃ、お相手が外国人と聞いても、あまり驚かなく
なってきてます。ついでに言うと、高齢初婚にも慣れました。離婚を聞いても、
そーなの〜大変だったのね〜、、で、エエー!どーして!?じゃなくなってます。
結婚をめぐる諸々のハードルは年々低くなっているのではないでしょうか。

国際結婚のことから話したのは、『アデンまで』を読んで、日本人をふと意識した
から。普段の生活では、自分が日本人であることなんて考えませんもの。
『アデンまで』の主人公は日本人であること、というより、黄色人種であることに
強い劣等感をいだいているんです。フランスでの暮らしとフランス人の恋人に
別れを告げ、マルセイユから船に乗り、ヨーロッパを離れる主人公は、船内で
黒人の女が病気で横たわっているのを目にします。白人・黒人・黄色人種・・
白は神聖で黒は罪?黄色は醜い?・・どうしてそんなふうに自虐的になるのか
わかりません。『アデンまで』が発表されたのが、1954年だと知って、50年前!
なら無理もないかな、、なんて寄り添ってみたい気持ちにもなりましたが。。

50年で日本人は大きく変わりました。地域や親戚、学校、会社内で外国人と
付き合う一方で、老後は海外に移住だとか、生活の源泉は日本のままで海外の
1ヵ所に旅行より長く滞在するロングステイという生き方を選ぶ人もいます。
「アデン」についても、今の子供たちはゲームを連想するでしょうね。
アラビア半島南岸のアデン湾に臨む港湾都市アデンではなく。


水野はるか |MAIL
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