水野の図書室
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2004年07月03日(土) |
藤堂志津子『昔の恋人』 |
先月、恋愛アンソロジー「LOVERS」(祥伝社文庫)で、いろんな恋を読んだのに、 んー、いまいち、物足りなさが残ってすっきりしません。 どれも未熟な恋だからかな・・と気づいたところで、思い出したのが、藤堂志津子。 大人の恋を読みたいときは、藤堂志津子なのです。 重過ぎず、妖艶過ぎず、何か教えてもらえそう・・という訳で、大人の恋が四つ入りの 「昔の恋人」(集英社文庫)を読み始めました。
最初は表題作『昔の恋人』。十数年ぶりに昔の知り合いから電話がきて、会いに行く ことになった女の胸の内は……。というお話。
主人公の女性が22歳だった頃、ふたりの男性と奇妙な三角関係だったことを回想 するあたり、せつないものがあります。自分の気持ちに軋轢や葛藤を感じながらも どちらかの男性を選ぶわけでもなく、ただ、見送っていくような日常は、誰にとっても なつかしくほろ苦い思い出。 若い頃って、言いたいことも言えずに後悔するばかりだったのに、いつの間にか、 言わなくてもいいことまで言ってしまって、反省することも。そんなこと、ありませんか?
かつて、友だち以上に思っていた人が、自分のことを恋人だと思ってくれていたら ・・・・・・うれしいですね。
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