水野の図書室
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2004年07月08日(木) |
藤堂志津子『浮き世』 |
豊かな愛情に包まれて育った人って、なんとなくわかります。 人は愛されることで、愛することを知るんですよね。
『浮き世』は、恋愛を遊びと考える女、宇多子のお話。 真面目な兄嫁、和恵との対比がわかりやすく、宇多子の浮ついた言動に、どんどん 苦々しさを感じていくことでしょう。 ところが、人のこころを弄ぶ宇多子に、なんて女だ!!と炸裂寸前、場面は急展開。 幼い頃、肉親の愛情に餓えていた姿を見せられて、怒りは哀れみに変わるのです。
ラストで明らかにされる“浮き世”の意味が鮮やかで、うーん、さすが藤堂志津子、 見事です。 ますます、藤堂さまから、いろんな恋物語を聞きたい気持ちに。
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