水野の図書室
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2004年05月28日(金) 島村洋子『七夕の春』

恋愛の本質が【想う】なら、これもひとつの恋愛なのかもしれません。
恋愛アンソロジー「LOVERS」(祥伝社文庫)・5番目の作品『七夕の春』に、
うれしい衝撃を受けて、更新が滞っておりました。

激しく求めあう愛ではなく、耐え忍ぶ愛でもなく、涙・涙の愛でもなく、それは、
とても穏やかな想い。主人公の女性に、中学卒業から15年間、同じクラスだった
J君から手紙が届きます。ふたりは同窓会委員として、名簿を把握しておく必要が
あったのです。年に一度の手紙のやりとりを続けるうちに、彼女はJ君に不思議な
親近感を抱いていくのですが……。

いくつかの挫折を経験していく主人公にとって、J君からの手紙が、心のよりどころ
になっていく過程がとても自然で好感が持てます。

年賀状だけのつきあいだけど、ずっと見守っていたい人はいませんか?
好きとか嫌いとかの感情とは違う、絆のような感情を思い出させてくれる人が
誰にでもいるのではないでしょうか。

ただひとつ、気になるのは、J君・・って。。
純一郎君とかの方が、わたしは好きなんですけど。


水野はるか |MAIL
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