水野の図書室
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2004年04月26日(月) |
篠田節子『ピジョン・ブラッド』 |
篠田節子というと、長編のイメージですけど、短編もいいですよ。 他に、宮部みゆきもそう。長編も短編も引き締まっていて素晴らしいです。 すぐ読み終わる短編より、じっくり楽しめる長編が好き、という人がいるけれど、 短編だって、楽しめます。ずっーーと心から離れない作品もたくさん。 もちろん、壮大なスケールで活躍する主人公の波乱万丈人生を追いかける 長編も大好きですが・・。要は、長さじゃないんですよね。
短編のシチュエーションの多くは男女の別れ(だと思います)。 篠田節子の描く恋の終わりは・・想いがあふれすぎて重過ぎるくらい。 自分から離れていく年下の恋人を引き戻そうとする『ピジョン・ブラッド』は、 こんな終わりは嫌だなあと思いながらも、どこか胸騒ぎを呼びます。
待ち暮らすだけの恋なんて、息詰まりそう。 男と女と鳩だけが彩る小さな世界は、不気味な余韻を残します。 最後の最後、そそそんな!のどんでん返しが哀しい・・。
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