水野の図書室
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2004年02月17日(火) |
皆川博子『想ひ出すなよ』 |
「ミステリア」(祥伝社文庫)も今日でおしまい。読んでるときは早く早くと先を急ぎたく なるのに、最後のページを捲ったとたん、なんとも言えない寂しさが・・。
『想ひ出すなよ』──タイトルは アイルランドの男爵で劇作家、ロード・ダンセイニの 散文詩「巨きなけし」の一節から。 ある少女が友達の家の離れに暮らす女性と親しくなっていくのですが、その女性は 友達の父親のお妾さんで……。当然、まわりの大人は、少女がその女性に近づく ことを快く思わず──。
まったく、大人って勝手です。自分の家の庭に離れを建てて愛人を住まわせたり、 子供の質問に窮すると、はぐらかしたり、頭ごなしに怒ったり・・。 でも、説明のしようがないこともあります。子供には教えたくない世界とか、ね。
戦前は、大人と子供の間には確固とした線引きがあったんですねー。いつからか、 大人も子供もなんでも一緒で、信号待ちにケータイ取り出してメール・チェックする 小学生にも驚かなくなったし、若いコの言葉をムリに使うオジサマもいるし、どこか ヘンだよ、この国は!エイジレス美人をめざすのもいいけど、、、、ピンクの口紅は 年齢制限があるでしょ、その歳ならではの美しさがあるはず!(と、信じたい) 若づくりは一歩間違うと、痛々しいのですよ。 あぅ、話がそれてしまいました。
シェイクスピアの戯曲の中でもあまり知られてない「タイタス・アンドロニカス」が登場 するあたり、作者のシェイクスピア好きが窺がえて、なんとなく嬉しくなるものの、 戯曲にのめりこんでいく少女に不安をかきたてられます。本は、いろいろな世界を 見せてくれますが、復讐や苦悩や裏切りばかり読むのは、いかがなものかと。。
丁重に丁重に書かれた秀作。ずっーと頭の隅に残りそうな予感です。 「見るな」と言われたら、見たくなる。「思い出すな」と言われたら、忘れません。ハイ。 10編どれもが個性的な「ミステリア」、よろしくてよ☆← こういうのも若づくり。笑
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