水野の図書室
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2004年01月08日(木) 重松清『卒業ホームラン』

「日曜日の夕刊」(新潮文庫)最後の作品になりました。
いろんな家族愛を見てきて、12編目は父親と小学6年の息子が登場です。
父親は少年野球チームの監督、息子は背番号「16」で補欠の7番手。実力主義を
つらぬく父親は、少年野球最後の試合に、息子を補欠のまま臨みます。

公平さを重んじるばかりに、補欠の子供たちの親からは文句を言われ、監督って、
大変ですよねー。ウチの子は、オンリーワンでナンバーワンなわけです。フゥー。

監督の細やかな気持ちの揺れがこちらにストレートに伝わる傍ら、息子の気持ちに
あまりふれないので、かえって、もどかしさがつのるばかり。
出番がなくても声援を送る息子の笑顔が眩しいですね。なんだか痛いくらいです。
練習を重ねてもレギュラーになれない息子に、父親は、中学に入ったら部活は
どうするのか尋ねます。対する答えが明確で純粋で、目の前がパパッーーと
明るくなりました。

すがすがしい気持ちで読み終えて、すっきり。
12編どれも読みごたえがありましたが、特に『後藤を待ちながら』はズッシリきました。
これで629円(税別)はお買い得!


水野はるか |MAIL
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