水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2003年12月12日(金) 吉本ばなな『窓の外』

「不倫と南米」(幻冬舎文庫)を読んできて、なななんとあっけなく最後の作品です。
本のタイトルが強烈なせいか、期待しすぎたようで、少々物足りなくもあり…。

男性作家が不倫を描くと、死の匂いがするものが多い(ような気がする)けれど、
女性作家が不倫を扱うと、自然に身をまかせてるような感じがします。
男性作家の不倫ものは逃げ道がなく、女性作家のそれは柔軟剤入り。
男にとって不倫で身を破滅させることはあっても、女にとって不倫はたまたま
飛び込んでしまった、ある愛のかたちなのかもしれません。

『窓の外』─ 夫と別居中の「私」が、結婚している男性と旅行するお話。
旅行中に相手が妻と離婚したことを知り──。

旅慣れた人と高いホテルに泊まって、食事をしたり、ヘリで滝を見に行ったり……
カテゴリーは不倫だけど、それがなにか?という顔ですね、きっと。
不倫ドロドロは嫌ですが、こう淡々としているのも複雑な気持ちです。

さっき、TVでヤワラちゃんの結婚式をチラと見たからかもしれません。
「病める時も悲しみの時も忠実な妻であることを誓います」…じーん。
結婚式の朝の気持ちを思い出したら、誰も不倫なんて考えないですよね。たぶん。

7編の中で一番印象的なのは……
イグアスの滝とミッションの遺跡の写真に圧倒されました!

「不倫と南米」は2000年第10回ドゥ マゴ文学賞受賞作品です。
この賞の特徴は、受賞作は、毎年「ひとりの選考委員」によって選ばれるということ。
(選考委員の任期は一年)このときの選考委員は安野光雅氏でした。

今日は長くなってしまいました。携帯電話でご覧の方、ゴメンね。


水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加