水野の図書室
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2003年11月18日(火) 有栖川有栖『201号室の災厄』

「暗い宿」(角川文庫)の悼尾を飾るのは、東京の高級ホテルです。

ホテルの廊下で、火村先生、来日中のロックスターと出会ってしまいます。
で、ひょんなことから、殺人事件に巻き込まれて、もー大変!
201号室にふたりきり(正確には、3人?)になったロックスターと火村先生は
理詰めで話し合います。事件を解く鍵は──。

緊迫したふたりのやりとりにドキドキ。火村先生、今夜も冴えてます。
期待以上に饒舌で、意外なほど冷静で、読みごたえたっぷり。面白かったです。
ただ、緻密な論理展開で謎が解けても、あと味はモヤモヤ。
殺人事件ですから、すっきりなんてするはずないんです。
なくした指輪を見つけるのとは訳が違いますよね。

4編の中で、最もあとをひくのは、表題作の『暗い宿』でしょうか。
夜の中心に向かって吸い込まれていくような感覚が、忘れられません。
ホント!んなおおげさなーって思うなら、読んでみてくださいまし。

【有栖川有栖は夜を描く】…と心メモして作者のあとがきに目を通したら、次に
書評家、川出正樹氏が、有栖川有栖は夜と旅を描く作家だと解説してました。
そうそう、まったく同感です。

去年読んだ『夜汽車は走る』(「ジュリエットの悲鳴」、角川文庫、2002.1.14記)は
「水野の図書室」おすすめの逸品。夜を感じます。


水野はるか |MAIL
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