水野の図書室
Diary目次|過去を読む|未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2003年10月17日(金) |
多島斗志之『虜囚の寺』 |
昨日は『追憶列車』に乗り、第二次世界大戦末期の仏独国境へ行って来ました。 今日は『虜囚の寺』で、日露戦争時の四国松山、道後温泉が舞台です。 あん・・ページ捲った途端にベルリンから松山。き、きついわ・・。 時差があるんですよ〜。本の中にも。すぐに順応できないのです。 で、ちょっと心の用意を。 ・ ・ ほほっ──う、当時の松山にはロシアの捕虜があふれていたんですね─。 人口三万の町に、捕虜が二千人以上も収容されていたなんて! 知りませんでしたっ!ハーグ条約(戦争の捕虜を人道的に扱うっていう約束ね) のおかげで、捕虜たちは護衛の兵に引率されて、町を出歩き、道後温泉へも 行っていたなんて!知ってた?なんだか興味しんしんモードになるでしょ?
収容所として使われていたのは、ほうぼうの寺。うーん、不思議な情景です。。。 そして、四国は島。脱走して船で海へ漕ぎ出せば、沖を通る外国の貨物船に 救出されるかもしれません。ロシアの中尉、セルビン(小川で魚を捕る時に使う 入口に返しのついたビン、セルビンと同じ名前なのは皮肉ね)は逃亡しようと──。
あーん、これも短い、短すぎる、短編じゃなくて長編にしてくださいまし── !!
道後温泉で働く娘と捕虜のはかないふれあい(はかなすぎる・・・しくしく)に、 収容所の所長と捕虜の緊張感漂うふれあい、じゃなくて、カケヒキやら、ロシア から捕虜になった父親に会いに来た母娘、(戦争中にこんなことがあったの?) と主軸以外に盛りだくさん。長編にしてほしい短編ランキング(今、考えた。笑) に入れたいです。
他に、長編にしてほしい短編小説といったら、 瀬名秀明『Gene』 (「ゆがんだ闇」、角川ホラー文庫収録、2002.01.21記)と、 真保裕一『盗聴』(「盗聴」、講談社文庫表題作、2002.04.21記)がすぐ浮かびます。
ぜひぜひ長編に─!
|