水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2001年11月22日(木) |
乙一著『死にぞこないの青』 |
今朝の新聞で、パイオニア“ピュアビジョン”の全面広告を見たんですけど、 いいですね〜。夕焼けの海を見つめる男のひとと空を切り取ったような テレビの形。安心して見れる広告です。無難と言えば、無難ですが。 コピーの一行が目に飛び込んできました。
「胸をしめつけるような、あの痛みもいっしょに連れて」
はぁ・・これ、せつない気持ちで、ということね・・ テクノロジーを支えるのは、せつない気持ちなのかもしれません。 テレビを見るのは、せつなさが欲しくて・・なんだか、せつない話に・・
と、新聞捲ったら、お!村山由佳さんの新作の広告が!! 『すべての雲は銀の・・・』(講談社)、おしゃれなタイトルです♪ 「愛し合い、傷つけ合い、やがて赦し合う人々が静かに、せつなく奏でる 交響楽 待望の長編小説」・・せつない好きのわたしには、たまらないです〜
前置きはこのくらいにして、本題に。 小学生だった頃は、もう遠くなりましたが、街で小学生を見かけたりすると ちょっと、せつない思いがよみがえります。 教室でいつもぽつんとひとりでいた子、どうしてるかなーなんて。 自分を主張することなく、からかわれても言い返せず、損な役ばかりで。
小学生でも、要領のいい子・そうでない子がはっきりしています。 いじめられやすい、と言うと語弊があるかもしれませんが、 乙一著『死にぞこないの青』の僕、マサオは誰かに声をかけることができない 恐がりで、ビックリマンチョコのおまけのシールだけ抜いてお菓子をゴミ箱に 捨てることに罪悪感を持つような子なのです。
不安と期待が入り混じる5年生の新学期。 ささいなことから、いじめは始まります。誤解を説明できないマサオは、 先生からも、クラスメイトからもいじめられるようになっていきます。 マサオは、「僕はバランス係。クラスのバランスをとるために存在する 生贄のような係なのだ」と、自分を納得させるようにしていくのです。
ある日、思い切って先生に理不尽を訴えたマサオは、先生に殴られ罵られ・・ マサオの前に現れた青い顔の男の子、アオの・・「先生を殺せ」に・・
最後の第五章がなかったら、読み終えたあとの気持ちは180度違ったものに なっていたでしょう。 乙一著『死にぞこないの青』(幻冬舎文庫・書き下ろし) 文庫203ページ、生贄の羊のマサオを心配しながら読んで50分。 何とも言えない思いに包まれます。
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