昨日鑑賞した『戦場のピアニスト』のこと。ひとことで言えば「第二次世界大戦下、ナチスドイツ軍に迫害されたポーランドに住むユダヤ人ピアニスト:シュピルマンが、友人や知人の助けを得て戦禍をのがれる」という話。彼自身の著書を元にして作られた映画らしい。観終わって私が第一に思ったのは「芸は身を助く」などどいうもうどうしようもない言葉だった。そういう内容の映画ではないんだけれど、いろいろと強烈な印象があってそんな言葉しか出てこなかったという感じなのだ。言葉ではうまく伝わらないが、ナチスによるユダヤ人迫害の場面は思わず顔を覆いたくなる冷酷さだ。彼らの気分ひとつで人の命がいとも簡単に消されていったという事実・・・偉そうなことを言うつもりはないが、戦争が及ぼしたこれらのむごい事実から目をそむけてはいけない気がしてしっかりと焼き付けてきた。そんな映像をシュピルマンの目を通して見ているうちに、いつの間にか私もその戦禍の中にいるような、そんな感覚に陥った。ただ不思議だったのは、いたるところで殺戮が行われ、戦禍がうずまき、シュピルマンの死と隣り合わせの逃亡を描いているのに、淡々としたすごく静かな印象の映画なのだ。その淡々としたつくりが戦争の怖さというよりも、哀しさ愚かさを際立たせているような気がした。映画の中で、何も知らずに収容所送りの貨車に乗り込むユダヤ人達の姿があった。そして杉原千畝の名前が登場した(と思っていたが今考えると幻聴だったかも)ことからも『異国の丘』を思い出さずにはいられない。『異国の丘』の時はMさんのおかげもありたくさんの本を読むことが出来たが、まだまだ知らなければいけない戦争をめぐる真実はたくさんありすぎるね。この映画の新聞広告に浅利さんのコメントが掲載されていた。「この作品に最高賞を与えなかったら、アカデミー賞の意義が問われる。傑作という言葉では足りない。世紀に何本かという作品だ」とのこと。皆様も是非ご自分の目で確かめてみてみて下さい。 −−−過去の今日のこと−−− 2002年02月21日(木) お仕事の後には美味しいケーキを♪