| 2001年09月14日(金) |
ヴィンセント・ギャロ |
ギャロは多彩な経歴の持ち主だった。
「俳優」として活躍する彼のことは以前から知っており、出演する作品は概ね観ていた。『アリゾナ・ドリーム』では役者志願のジョニー・デップの友人役を演じていた。一度観たら忘れられない風貌、デップとは対照的ともいえる早口で、ロバート・デ・ニーロやケーリー・グラントの物真似をする大袈裟な仕種が可笑しかった。『フューネラル』では死体の役、『ネネットとボニ』では主人公が憧れる人妻の亭主、白いコック帽に青い眼をしたパン屋を演じていた。『愛と精霊の家』、『フィガロ・ストーリー』、『パルーカヴィル』・・・・彼が演じるだけでどんな小さな役も印象深くなった。
それ以前はというと、ざっと挙げて、ジャン=ミッシェル・バスキアとバンドを組んでいたミュージシャン。今では作品に高値がついて本人が買い戻せないほどの(日本でも画集が出版されている)画家。コスチューム・ナショナルのカタログを手がけたカメラマン。YAMAHAのプロのバイクレーサー。更には専門誌に寄稿するほどのオーディオ専門家(日本では彼が俳優であるというよりも先にその筋の専門家としてオーディオ・ファンには知られていた)であり、三十年代、四十年代のハイファイの有数なコレクターで、レアなギターのコレクションも多数、ロスアンジェルスの自宅のスタジオにはアナログの録音機材が完備されている。雑誌で知る限り、ヴィンテージ・クローズのコレクションは200着以上、昔から住んでいるニューヨークはリトル・イタリーのアパートメントには、7000本もの映画ビデオが並ぶ。熱烈な映画ファンである彼は、ある雑誌のインタビューで非常に辛辣で厳しい俳優・監督批評を独壇場で展開、そこではデビッド・リンチやハーモニー・コリン、ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、スーザン・サランドンらが槍玉に挙がっていた。また、今シーズンのトランス・コンチネンツとパルコのイメージモデルを務め、自らパルコのポスター、テレビCMも制作している。
『SWITCH』JULY 1999/横井里香
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