2004年08月10日(火) 下呂の旅・つづき

花火の後から朝までたっぷりと寝て、早めに宿を出ました。そして下呂の少し南の乗政というところの枝垂栗(しだれぐり)を見に行きました。しだれぐりというのは栗の突然変異種で、木も枝も異様な形で捩れています。その風情は日本画が似合いそうな味わい深い姿です。このしだれぐりの自生地は日本で3ヶ所しかなく、以前に小野のシダレグリというのを見に行き、今回は2つ目の自生地です。




これがしだれぐりです。こういうのがものすごくたくさん生えています。
随分と勾配のきつい山の中を800mほど登った所にありました。

ついでに、やはりそれほど遠くない門和佐という所に、「門和佐の夫婦杉」というのがあるそうで、そこにも寄って来ました。門和佐という場所をずっと車で走らせたのですが、詳しい場所はわからず、困って「中村」という地区にあるお店の方に尋ねてみました。そうすると、小さくてとっても笑顔のすてきなおばあちゃんが、すたすたと前を歩いて、その木の生えている山の所まで連れてってくれたのです。木は、偶然にもその「中村」という地区を記した看板からそう遠くない所にあったのです。
「門和佐の夫婦杉」と書かれてあった筈の木の杭は、既にぼろぼろで全く判別が出来ず、そのおばあちゃんに教えてもらわなければ辿りつけない場所にありました。
畑の広がる細い山道を通り、そこから杉がいっぱい生えた山を少し登ると、その夫婦杉がありました。細い杉の木立の中、目通りは5mばかりですが凛と立つ杉は、小さな山の神のような神々しさと凛々しさを持っていました。








こーんな感じののどかな山道。名古屋では聞けないミンミンゼミの声がします。他のセミの声もいっぱいです。
私はお店で仕事をしていてそれは幸せなことだと思うのですが、お休みにこういう場所に来ると、私たちのお店に足りないものを感じてしまいます。
一つは美しい夕日。残念ながらそれほど高くはないながらもビルに囲まれている店のある場所は空が狭く、沈む夕日が見えません。
それからセミの声。そして木陰に入ると感じる涼しい風です。
夏はただただ暑いものだと思ってたけど、こういう場所に来ると、夏ってこんなに素敵な季節なのだと思い知らされます。確かに照りつける日差しは暑いけれど、草いきれと共に優しい風が吹いているのです・・・。

旅の終わりに、昭和村という所に寄って来ました。
昭和の風景を再現したテーマパークだそうです。
そこではずっと坂本九の曲がかかり、建造物や展示品など昭和30年代を基にしたものがいっぱいでした。様々な体験コーナーも充実しています。




しかし、道はすべてアスファルトで整備されたその「昭和村」よりも、門和佐のおばあちゃんの笑顔や山道、枝垂栗の自生地付近の農家の集落、そこから聞こえる鳥や虫や風の様々な音の方が、よほど「昭和」でした。


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