原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2002年02月01日(金) しょーもない計算。

「1日平均3000字」。
……って、まだ言ってるよ、この子は。
で?
「かける、確か2、3日書かなかったから、26日、っていうことにして」
……??
「78000字。これを400字詰原稿用紙で割ると」
……はいはい。
「195枚。で、1枚3000円、原稿料がもらえるとして」
……お、おいっ。
「わあ、58万5千円だ!」
……ちょいとっ、1枚の原稿料がそんなになるわけ、ないでしょ?
「え? そうなの?」
……肝心なこと知らないで計算するなよー。
「は、は、は。じゃ、googleで調べてみよっと」
……ご丁寧なことで。
=30分経過=
「あ、あったあった♪」
……どれどれ、見せてよ。
『出版事情第1回・作家の収入』だって」
……ふうん。
「ほらほら、あったあった! 『2000円〜5000円』って書いてある」
……でもそれ、「相場」でしょ?
「だからいいじゃん」
……っ、じゃなくって、「相場」っていうのはそこそこ軌道に乗ってる作家の話でしょ?
「だって、私、書けるよ?」
……そ、そういう話じゃなくて。
「1日に3000字平均で書いてるじゃん?」
……だ、だからね……
「それが売れれば」
……そう、「売れれば」。
「売れれば……うっ、そ、そうか」
……ってあんた、今まで気がつかなかったっていうのーー??
「だっ、だって!」
……「だって」何よー。
「だってね、字数の計算から入っちゃったんだもん」
……はあ。……ったく、そういうのを典型的な「たぬき」って言うのよ!
「たぬき?」
……もうっ、はっきり言わせたいか! 「取らぬ狸の皮算用」!!
「あはははっ、そうじゃんねー!」
……他人事じゃないっ、あんたのことだよ!
「でもさ、だってさ、面白いじゃーん♪」
……ああ、もうだめだ。つきあいきれん。
「ねね、でもさ、『原稿用紙1枚、1000円〜2万円ぐらいまで』って書いてあるよ♪」
…………
「そうすると、さっきの、えーと、『195枚』だっけ、それに、そうねー」
…………
「最初は駆け出しだから『1枚1000円』で我慢するとして、」
……おい。
「195かける1000円は、19万5千円! これなら、」
……おーい。
「暮らして」
……おぉーーーい。
「いけるかも♪」
……をいっ。
「はいっ?」
……あんた、けっきょくわかってないんじゃない。
「え、そうなの?」
……まだ、こいつは……。そうなの、じゃないよー!!
「えへへ」
……えへへ、じゃないよー!! あんたねー、それ、全部「原稿が売れれば」の話でしょー?
「うん、そうだよ」
……あんたが書いてるわけのわかんない、偏見だらけで人を不快にさせる文章、本当に売れると思ってんの??
「うん♪」
……。
「?」
……わかった。じゃ、最初にもらった「19万5千円」で、サングリアのパエリア、いちばんいいの、おごってね。
「う、うん、いいよ、それぐらいだったら♪」
……お、おめでとー。っていうか、おめでてーよね、あんたは!!
<了>


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