赤ん坊は、あやされてナンボという顔をしており。 いたずら坊主は、「これボクんの」と言う時最高の顔をし。 中学生にもなると小僧どもは。 何かしらてめえの懐に辿り着いたもんを、ベッドの片隅でこっそり開いて。 やっとニヤリと笑う。
そしてガキの頃は、大人になるちゅうんは。 日々積み重ね、山を登るように決して下には戻らないこと。 全てを失うことなく、ただひたすら手に入れ。 てめえの持ち物と相棒を増やしてくだけのことだと、思ってたんだが。
なんのこたー無ェ。
人生なんちゅうもん。 んな気の利いた山みたいなもんじゃねくて。 ある種ほとんど真っ平らのつまらん道に、よほど近い。
必死で正しい道を歩いていると思いこみ。 なかなか報われねーんで、手近な人間に顔を隠してクソを投げ。 そういうことをやってるもんで、なかなかますます報われねーし。
けど。やってる本人は必死。
なんせ正しい道を歩いてると思いこんでんだもんナ。 そんなんばっかりだ。
実際、道に迷う時と。人生とやらの道に迷う時と。 人のたどる過ちちゅうんは、ほぼ一緒。
こっちか、こっちか。あっちかも。と。
ただ一点、おんなじ所で、間違える。 それも、あたかも、是非とも間違えたい! ナンゾと思ってるかのようにヨ。
グルッと振り返って同じトコに行く。 けど。
それが「狸に化かされたまま白骨になってく道」なのか。 あるいは「課題が残されてるから敢えて解決するまで出るべきでない袋小路」なのか。
その区別は、誰にも付けられない。
更にマジメなヤツほど「飽きたからもう辞める」ちうのが出来無ェもんで。 ますますハマる。
ありゃりゃ、そっちじゃねーんだけど。ナンゾと。
赤の他人の桜木が思うた所で大きなお世話。 ただ一つだけ有効なんは。
クソだけは投げ無ェ方がいい、ちゅうくらいのこと。 クソは。 持っただけで、てめえの手が臭くなっちまうからな。例え匿名でも。
スタンダールの言葉にこういうのがある。 好かれる相手が多くなるほど、通りいっぺんの好かれ方になる。
いつの世も大衆が好むのは。 わかりやすく、それでいて「どっかコバカに出来る」もん。
本気で心酔すりゃ宗教で。 笑いながら見てられる程度のもんが一番カネを稼ぎ。
「だけど本当に求めてるものは、そんなもんじゃない」
とか何とか言いがちな人間が成功するほどには、世の中ってのは複雑じゃない。
気難しい顔で、たまに笑い。 その照れ臭い感じが、なんでか、わかる。
そういう相棒。 そういう仕事。
本当に欲しいのは結局、ウソ吐かねーでもラクしてできる仕事と。 ウソ吐かねーでもラクで居られる相手。
なあ。十週連続第一位とか絶賛人気たらいうもん、そんなに羨ましいんかな。
桜木の基準はいつでも「そいつ幸せそう?」だ。
同時期に始めたサイトの管理人が10万HIT御礼とか言うて。 後輩がうなだれて今まさにまじい酒飲もうとしてたんで。
そういうの以前に、お前全然幸せそうじゃないし。言うたった。
行きつ戻りつ。本当に必要なものはなかなか手には入らねーが。 たまには手に入ることもある。
そしたらそいつを、ぎゅっと握りしめ。
たまにはニヤリと笑いたいだろ。
わかりやすーくコバカにされながら。 愛玩される動物になりてーんなら。
それでもいいが。
くだくだ言うて、まじい酒飲んでんだったら。 ちっと考え直した方がいい。
10年経っても忘れねー言葉。あんたにはある? 桜木には有るよ。
その人が良い匂いのする綺麗な手でしたためた言葉は。 多分。
墓場まで持ってける。
そんな言葉のひとつも吐いてくれよ。なあ。 きっと桜木はそいつを墓場まで持ってく。
けど後輩よ。忘れんな。
誰ぞに投げつけたクソのへばりついた手で書いた言葉は。 どう飾ってても臭ェってこと、忘れんな。
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