2001年12月09日(日) |
身を粉にしたくても砕いてくれる重さすら見つからない世界で。 |
今日はダラダラと休日モード。
見るともなしに見ていたテレビに「なかにし礼」が出ていた。
彼の著作「赤い月」をなぞりながら、彼の母親の半生を紹介する。そんな番組だった。
戦争とか。理不尽とか。苦難とか。複雑なことはいい。
ただ。
桜木の生きるこの時代には。 たとえ誰かが「身を粉にして何かをしたい」と望んでも。 この身を砕けるほど「重い何か」すら。
見つからないのかもしれねーなと思った。
いや。
たぶん、あるトコロにはあるんだと思うヨ。
けど。
見つからないんだ。なかなか。見あたらないんだ。ぜんぜん。
今日。
やっぱり女の子は育てやすいわよねェという話になった。
けど。そう言われると。
ま。育てやすい上に。 ちっと大きくなりゃ、子守りだのお使いだの水くみだのさせられたんだもんな。
「昔」は。
なんてナ。
言いたくなる桜木の悪いクセ。
昔の女たちはまさに身を粉にして働き。 子を産み、育て、死んでった。
昔の男たちも。ともすればサボりたくなる自分にカツを入れながら。 まあまあそれなりに身を粉にして働いて。 子を叱り、家のモンを睥睨しながら、死んでった。
そこには逃れられないほど重たい何かが確実に存在していて。 ただ彼らはそこから逃げ出すことができなかった。
ウン。それだけだ。
昔の人が偉かったわけじゃねーんだよ。
けど。
今。こんなにも軽い世の中で。
桜木は。
どんなもんに。 どんなトコで。
どんな風に「押しつぶして」もらえたら。ココから逃げ出さないで済むんだろう?
のたれ死ぬことも許されないくらい優しい社会だ。
本気で乞えば。きっと小学生でもコンビニのおにぎりを恵んでくれるよ。
はは。すげー世の中。
どうやって生きるか。どうやって死ぬか。 若い子ォらが、見失ってもオカシかないナ。
あの頃たくさんの人たちを押しつぶし。 彼らを麦の穂のように強くした「何か」たちは。
どこへ消えちまったんだろう?
「学級崩壊」とか。
子どもらが教室の机にすら座っちゃいねー、て騒ぐけど。
重石を無くしてフワフワしてんのは。大人も同じかもしれない。なんて。
そんなことを思った。休みの夜の散歩。
繁華街をうごめくたくさんの人。人。人。
携帯電話をしっかり握りしめて。 テメエの心が浮かび上がっちまわないように。 祈ってるみたい。
携帯電話をしっかり握りしめて。
メモリの中の誰か。 一人でいいから。
自分をココに。つなぎとめてくれと願ってる。
軽い軽い。
たくさんの心が。それでも家路を急いでた街。
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