私的正論。

2001年12月10日(月) 余命六ヶ月になったら、わかればいいナ。

そんな、生命保険のCMがあったっけ。
「あしたのジョー」が出て来て。
余命六ヶ月で保険金が受け取れる、ていうの。

ようするに、

「残り少ない人生、好きなことをしてください。お金先にあげます」

てことなんだろう。イヤな金なんだか嬉しい金なんだかわからんね。

家族の居る人なら、

「よーし、どうせ死ぬんだパーッとやろう」

なんて思えねーだろうし。あの保険って、今でもあんのかな?


桜木は、死ぬ半年前に金をやる、なんて言われてもいらねーけど。
ただ。
不慮の事故で死ぬにしても病死するにしても。
アンタの余命は、あと六ヶ月ってとこですヨ、ていうの。

教えてもらえるもんなら教えてもらいてーな、て考える。


ガンにでもかかりゃ。わかるだろうが。
ふつーに暮らしてりゃ、余命なんてもん。なかなかわからねーよナ。

元気な10代でも明日死ぬかもしらん。
明るい20代も突然死するかもわからん。
大変な30代も。もちろん。

残りの人生がどれくらいかわからないから。みんな無茶をする。
ワケもなく世をはかなんだり。テメエの体をいじめたり。
責任取れそうにない冒険に手ェ出して、ワクワクしたりして。

今やってること。その同じことを。

残りの人生が半年だってわかっても、アンタはするか?




桜木は、するよ。

まー。今よりずっと力は入れるとは思うけど。
たいてい同じことをすると思うよ。

同じことを。今よりずっと一生懸命やろうとすると思う。

はは。結局のところ桜木も。
かなり手を抜いて生きてるってワケか。


人を愛することにしても。
世の中を憂うことにしても。
力を尽くすことにしても。

なんだかんだ中途半端な人間。


けど。

時々思い出して。
時々はブースターかけるようにする。

限りあるイノチ、なんて陳腐な台詞。

けど。

それはこれ以上無いってくらい。極上の真実の言葉だヨ。


半年あったら。
イロイロなことが出来ると思う。
今ナニも知らないで生きてるうちは。平気で「生き流してる」半年を。

いつもいつも「最後の半年」って思いながら生きられたら。

…疲れるかもナ。そのせいで、過労死したりして。

けどまあ。ゴロ寝しながらでも考え事くらい出来るから。
『エンピツ』を始めてからは。そんな時間も増えたと思う。

頭の使いすぎで寿命が減るかもしれねーが。なに。
ただこうしてバカをさらすのにも、きっと意味がある。

例えば「こんな大人にはなりたくねー」なんて。
反面教師に、なれるかもしれないナ。


桜木が、この年まで生きて。

「一番わかったこと」ていうのはさ。



やっぱ。ありきたりなことだけど。「今を生きる」ってことなんだよナ。



未来への夢とか過去への後悔とか。
生きてると。そういういろんな誘惑があるけれど。

そうして確かに未来を見つめたり過去を振り返ることも大切だけど。


いつも。

「未来2過去2今6」くらいの割合がイイと、桜木は思うよ。
それが、このバカが何十年か生きてきて、「わかったこと」。


んな、抽象的なこと言われてもわからんて。はは。そうかもしらん。

そんなら具体的にな。言っとくヨ。


さあ。今から。「今しなきゃいけないこと」をやる。6割くらいの力で。
そうして片づいたら、「あの時のこと、あの頃のこと」を反省したり悔やんだりする。
2割くらいの時間をかけて。


で。最後に。「これからのこと」を考えながら、布団に入る…。
楽しいことを。
嬉しいことを。
2割くらいの微笑みを浮かべてさ。




もしも今。桜木の前にカミサマが現れて。
「おい。オマエ余命六ヶ月になったよ」
て教えてくれたら。


どうすると思う?


ウン。答えは簡単だ。

桜木は、「今しなきゃならないこと」を10割の力でヤルよ。

過去も未来も。
もう桜木には、必要ねーんだから。



さあ。棺桶に片足つっこんだ人間の戯れ言は、これでシマイ。

今日もあったかくして寝な。
大事な季節に。
風邪なんかひかねーように。


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桜木



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