2001年11月14日(水) |
アンチダイエット論。もしも完全な痩せ薬が開発されたらどうなると思う? |
ここでシミュレーションしてみようや。
完全な痩せ薬の登場も。まったく非現実的な話、というのでもなくなって来たようだ。 もちろん市販化にあたっては。いろんな方面からの様々な妨害が予測されるけどナ。
それでもまあ無事に発売されたとしようや。 価格も信じられないことに…、まあ、ひとつき服用を続けてもせいぜい一万円、てところとみておこう。
痩せるわナ。 みるみる痩せる。どいつもこいつも痩せる。
ハイ。 その後の世の中。どうなると思う?
シミュレーションしてみようや。
まず。
『エンピツ』のダイエット・ジャンルが無くなるわナ(笑)。
次に。
Lサイズショップが、在庫がはけなくなって困るよナ。 ちょっと気の毒だ。 影響を受けそうな小売り関係は、早めに手を打っておいたほうがいいだろう。 ダイエット食品、ダイエットグッズ、体脂肪対策のスポーツグッズ関係も全滅だろう。 どれくらい経済的なダメージがあるか、詳しく調べようと思えば調べられるのと違うかな。 経済学をやってる学生サンが居たら、自習がわりにやってみるとオモシロイかもしれないナ。
で。次に。
オーディション関係の応募が殺到するおそれがあるわナ。
これまでは「太ってるから」「笑われるだけだから」と後込みしてた彼氏彼女たちも、大手をふってオーディション番組に応募。 選考担当者は泡吹いて倒れるかもしれないよナ。
どうだ。書類の写真。書類の3サイズ。どいつもこいつもモデル並だ。 そういう中から頭ひとつ抜けるのは大変なことだよナ。
で。結局、身体で選べないから顔や才能ってことになってくる。 日本の芸能界のレベルは、格段に上がるだろうネ。 ハリウッドに通用するような人材が、出てくる可能性が大きいな。ちょっと心躍る。
「ただ痩せてる」「ただ生まれつき痩せてた」
ていうだけで優遇されるヤツらが、ブラウン管の中から居なくなるわけだ。 なかなか爽快だろ。
次に。
ファッション業界はウハウハ笑いが止まらないだろうネ。 それまで9号7号のブランドサイズを指くわえて眺めてた連中のすべてが、今日からすべてお客さんだ。 街行く人間ぜんぶがお客さんだ。 財布が歩いてるように見えるかもしれないネ。
ユニクロもますます喜ぶだろうな。そりゃ痩せた人間が着たほうがデザインが映えるに決まってるんだから。 サイズの一律低下と共に、衣類用の布の消費量は減るだろうか。 みんなオシャレになって、むしろ増えるだろうか。
そのへんは予測がつかないが、まあ、いろいろとオモシロイことになるだろう。
「ただ痩せてる」「ただ生まれつき痩せてた」
ってだけのことで、どれくらい多くの恩恵を授かることができていたか、ていうことを。 たくさんのおヤセさんたちが痛感することになるだろう。
顔の造作も今以上に問われるようになるだろうな。 頭の中身も、今以上に激しく問われるようになるだろうな。 軽くなった体でスポーツしたくなる男女も増えることだろう。 身軽になっていろんなことを始めたくなる人もあるだろう。
自分の太った身体がイヤでウツになってた人は解放されるだろう。 ある種の劣等感から逃れられて救われる人も多いだろう。
しかし。良いことばっかりじゃないんだよナ。
結局「デブ」がいなくなった世界には。
次のスケープゴートが必要なんだ。
そいつは誰だ?
チビかい?
ハゲかい?
それとも。 もっと深刻なハンディをかかえた人たちか?
バカげた差別が繰り広げられている。今この瞬間も。この国で。
「太るのは怠け者だから」 「意志が弱いから」
って書かれた錦の御旗に隠された残酷な差別心を良く見ることだ。
「デブ」がいなくなったら。 次が必要なんだヨ。ヤツらには。
醜いのはドッチなんだろうな。 本当に醜いのは。
ドッチだと思う?
もしも完全な痩せ薬が開発されたら。市販されるようになったら。
貴方にも考えてみてもらいたい。
半透明の壁の向こう側に。次の世界が見えるだろう?
サテ貴方はすんなりと。その向こう側に行けるかい?
それともその新しい世界でも。 次のスケープゴートに、石を投げつけるのかい?
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