こしおれ文々(吉田ぶんしょう)

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2012年03月24日(土) 吉田サスペンス劇場【夏美】第6話『必要なもの』

吉田サスペンス劇場【夏美】
第6話『必要なもの』




大学生殺害の重要参考人だった35才の主婦は
容疑者となり書類送検されることとなった。

その後の捜査で
死体解剖により大学生の性器から
別の人間の体液が検出され、
主婦のDNAと99.98%の確立で一致した


家族は最後まで無実を訴えたが
犯行現場となった大学生の部屋から多数検出されたの指紋、
99.98%同じDNAの検出、
この2点から結果を覆すことは困難であった。

結局二人の関係はわからないままだが、
テレクラにデリヘル、
素性を知らない者同士が出会い、
性行為に及ぶルートはこのご時世ではいくらでもある。



警察の見解は以下のとおり。


被害者は自宅に容疑者を招き入れ性行為に及ぶ。

行為後、何らかのきっかけにより主婦が逆上し、
被害者は鈍器のようなモノで後頭部を強打され、
まもなく死亡。

容疑者は逃走し、いつもどおりの生活を送るが、
罪悪感にさいなまれ事件から一週間後、
自ら命を絶った。


状況証拠ではあるが特段筋道に問題はない。


また、主婦の保有していた口座を調べた結果、
最高で二百万円程度あった残高が
ここ2ヶ月の間に数回にわたり数十万円単位で引き落とされ、
残高がほとんどなくなっている。

ギャンブルもしくは衝動買い等により貯金を使い果たし、
困ったあげくに風俗もしくは売春で工面しようとしたが、
客として出会った大学生を殺害してしまった。


筋は通っている。
筋は通っているのだが、
今ひとつ腑に落ちない。

言い方を変えれば、
筋が通りすぎているのだ。



警察の見解では突発的で無計画な殺人となっているが、
まるで主婦が大学生を殺すためのストーリーが
事前に出来上がっていたかのようだ



【誰かが主婦を殺人犯に仕立て上げた】という可能性も
決して否定できない。


現に大学生の後頭部を正確に2回殴った謎は
いまだ明かされてはいない。

しかし、主婦と大学生を繋ぐ糸が見えない以上、
その糸を繋いだ【誰か】を見つけだすのは到底不可能である。


結局いまの私に出来るは、
主婦が犯行に及んだ経緯を
【筋が通りすぎている】と思わないことだけである。

なぜなら、
私を含めた『警察という組織に必要なもの』は、
犯行に及んだ経緯に【論理的に問題のない犯人】だけなのだから。



管理人:吉田むらさき

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