こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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2012年03月15日(木) |
吉田サスペンス劇場【夏美】第2話『小さな機械』 |
吉田サスペンス劇場【夏美】 第2話『小さな機械』
国民の二人に一人が持っている携帯電話。
電話でありながらも その機能は電話にとどまらずメールやインターネットも可能である。
また、各社の競争が激化したことは料金面への影響が大きく、 小中学生でも所有者が増加。 さらなる普及率の増加をもたらした。
いまや携帯電話は【ケータイ】という 電話機とはまったくかけ離れた 別の機械としてその地位を確立している。
ただし、それにより ケータイを使用した犯罪も増加の一途を辿ることになる。 機能面の充実化は犯罪の多様化をもたらし、 急速な犯罪進化に法律が追いつかないのが現状である。
コードがなくどこにでも持ち運べるケータイ。
その小さな機械に 使用者のプライバシーの全てが含まれていると言っても 過言ではない。
一見、自分が持っている限り そのケータイに盛り込まれているプライバシーが 外部に漏れることはないと思いがちであるが、 それは大きな間違いである。
容易に所有可能となり、 大多数の人間が手にしているケータイは、 実は目に見えない糸でつながっていて、 個人のプライバシーなんてものは あっけないくらい簡単に 外部の人間が手に入れることができるのである。
ケータイ自体がなくしてしまったとしても、 使用した履歴はハッキリと刻まれ、 一本の糸を引くことにより 芋づる式につるし上げることが可能。
たかが履歴と思うかもしれないが、 その履歴こそが、 その人の人間関係はもちろん、人格や社会性、 さらには潜在意識に眠る本人すら気づいていない欲望さえも 鮮明に表してしまう。
2つの事件・・・いや、亡くなった主婦と大学生の二人も その見えない糸で繋がっていた。
少し引っ張っただけでは全く手応えがなくとも その糸は確実に二人を結びつけていた。
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